芸能

『ライオンキング』23年目の再出発 稽古期間中の劇団四季に迫る

劇団四季

22年続く劇団四季ミュージカル『ライオンキング』の舞台裏に迫る

「気合と情熱に感激、号泣」「音と歌の圧がすごい!」──“こけら落としを観ると寿命が延びる”という言葉がある。9月26日、東京・有明にオープンした有明四季劇場でのミュージカル『ライオンキング』を観劇した人たちもまた、興奮冷めやらぬ様子だ。

 この日、日本公演通算1万3084回を数えた本作。1998年より東京では浜松町、大井町と場所を変えながら、上演期間は22年を超え、国内総観客動員数は1290万人以上という、ミュージカルの“王者”として君臨し続けている。

 同作はライオン・シンバの成長物語。そこに生命の尊さや親子の絆という普遍的で壮大なテーマが加わり、老若男女誰もが共感し、何度観ても感動できる圧巻のスケールだ。

 魅力はそれだけではない。登場する動物たちは、衣裳やパペットで見事に再現され、舞台上をいきいきと飛び回る。さらに、「サークル・オブ・ライフ」「ハクナ・マタタ」など、劇中の楽曲は世界的に活躍するエルトン・ジョンが手がけ、ハイレベルな歌唱力とパーカッションの生演奏で届けられる。『女性セブン』は、稽古期間中の劇団四季に密着。“再生”を果たした本作の舞台裏に迫る!

 本作の敵役「スカー」は、主人公シンバの叔父で、プライドランドを統べる王・ムファサの弟だ。王になれなかった恨みやコンプレックスを抱き、愛と権力に飢えたスカーの複雑なキャラクターを表現するのにも、マスクが一役買っている。2017年からスカーを演じる飯村和也によると、操作は驚くほど難しいそうだ。

「スカー役の俳優は、右手のリモコンでマスクを操作しながら演じます。マスクそのものはF1のボディーに使用するカーボングラファイト製で、非常に軽い。ですが、衣裳の下のバッテリーや牛革製のパンツなども加えると、その重さは20kg以上。スカーはプライドランドでいちばんの重装備(笑い)。出演している間は、毎日2〜3kmほど走り込みをして足腰を鍛えています」(飯村・以下同)

 飯村は、2008年から同作でシンバを演じた経験も持つ。

「シンバもスカーも、常にマスクを通して演じます。俳優自身だけでなく、マスクの目線も相手の目線に合わせて、見つめたり、にらんだり、会話しなければならない。スカーのマスクは操作が難しい分、繊細な演技ができるので、大変な半面、とてもやりがいがあります。

 見せ場は、スカーが自らの理想と現実のはざまで苦しむ『スカーの狂気』というナンバー。ジェットコースターのように乱高下する情動を、歌とせりふ、全身とマスクの動きで激しく表現しています」

 一方、パペットは、本国アメリカの演出家が日本の人形浄瑠璃を学び、そこからヒントを得たという。色や顔つきなど見た目は世界共通だが、材料や構造は劇団四季の小道具担当者が日々工夫と改良を重ねて進化させている。そんなことを頭に置くと、観劇がいっそう楽しくなりそう。ぜひ劇場で目の当たりにしてほしい。

※女性セブン2021年10月14日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平の父が大谷への本音を告白した
《独占スクープ》水原一平被告の父が告白!“大谷翔平への本音”と“息子の素顔”「1人でなんかできるわけないじゃん」
NEWSポストセブン
「オウルxyz」の元代表・牧野正幸容疑者(43)。少女に対しわいせつ行為を繰り返していたという(知人提供)
《少女へのわいせつで逮捕》トー横キッズ支援の「オウルxyz」牧野正幸容疑者(43)が見せていた“女子高生配信者推し”の素顔
NEWSポストセブン
“原宿系デコラファッション”に身を包むのは小学6年生の“いちか”さん(12)
《ド派手ファッションで小学校に通う12歳女児》メッシュにネイルとピアスでメイク2時間「先生から呼び出し」に父親が直談判した理由、『家、ついて行ってイイですか?』出演で騒然
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告と、事件があったホテルの202号室
「ひどいな…」田村瑠奈被告と被害者男性との“初夜”後、母・浩子被告が抱いた「複雑な心中」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
注目を集めている日曜劇場『御上先生』(TBS系)に主演する松坂桃李
視聴率好調の『御上先生』、ロケ地は「東大合格者数全国2位」の超進学校 松坂桃李はエキストラとして参加する生徒たちに勉強法や志望校について質問、役作りの参考に
女性セブン
ミス京大グランプリを獲得した一条美輝さん(Instagramより)
《“ミス京大”初開催で騒動》「(自作自演は)絶対にありません」初代グランプリを獲得した医学部医学科1年生の一条美輝さん(19)が語る“出場経緯”と京大の「公式回答」
NEWSポストセブン
コンビニを兼ねているアメリカのガソリンスタンド(「地獄海外難民」氏のXより)
《アメリカ移住のリアル》借金450万円でも家賃28万円の家から引っ越せない“世知辛い事情”隣町は安いが「車上荒らし、ドラッグ、強盗…」危険がいっぱい
NEWSポストセブン
『裸ダンボール企画』を敢行した韓国のインフルエンサーが問題に(YouTubeより)
《過激化する性コンテンツ》道ゆく人に「触って」と…“裸ダンボール”企画で韓国美女インフルエンサーに有罪判決「表面に出ていなくても妄想を膨らませる」
NEWSポストセブン
裁判が開かれた大阪地裁(時事通信フォト)
《大阪・女児10人性的暴行》玄関から押し入り「泣いたら殺す」柳本智也被告が抱えていた「ストレスと認知の歪み」 本人は「無期懲役すら軽いと思われて当然」と懺悔
NEWSポストセブン
悠仁さまご自身は、ひとり暮らしに前向きだという。(2024年9月、東京・千代田区、JMPA)
《悠仁さま、4月から筑波大学へ進学》“毎日の車通学はさすがに無理がある”前例なき警備への負担が問題視 完成間近の新学生寮で「六畳一間の共同生活」プランが浮上
女性セブン
浩子被告の主張は
《6分52秒の戦慄動画》「摘出した眼を手のひらに乗せたり、いじったり」田村瑠奈被告がスプーンで被害者男性の眼球を…明かされた損壊の詳細【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
ビアンカ
《カニエ・ウェスト離婚報道》グラミー賞で超過激な“透けドレス”騒動から急展開「17歳年下妻は7億円受け取りに合意」
NEWSポストセブン