いまも多くの人の心に残るTBS系の学園ドラマ『泣き虫先生の7年戦争 スクール☆ウォーズ』(以下・『スクール・ウォーズ』)。 不良少年役を演じた俳優・松村雄基(57才)に、当時の思い出話や印象に残るシーン、セリフについて聞いた。
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ぼくが『スクール・ウォーズ』で演じた大木大助は地域で知られた“ワル”で、実在の複数人物がモデルになっていたようです。自分の信念を曲げるのが許せない性格の一匹狼でしたが、他人に迷惑をかける人間ではなく、唯一の親友であるイソップこと奥寺浩(高野浩和)を思いやる優しい心の持ち主でもありました。
撮影初日は、朝からハイテンションで暴れまわり、約束を破った教頭を殴りつけ、ナイフを持って詰め寄り滝沢賢治先生の説得に涙する。1台のカメラで同じ場面を繰り返し撮影していたのですが、後半はずっと泣いていた。
初対面だった滝沢先生役の山下真司さん(69才)が、「とてもよかった」と褒めてくださり、カメラマンも涙を流しながら撮影してくれました。撮影はとてもハードでしたが、スタッフやキャストのみんなが、ぼくの心情を察して緊張感のある現場を作ってくれたことが心に残っています。
忘れられない言葉は、「愛とは、信じ、待ち、許すことである」。
これは滝沢先生が恩師から言われた言葉ですが、演じた20才のときに、初めて耳にしてから37年、いまでもずしんと心の底に刺さっています。許すこと、これが本当に難しい。
もう1つ、不治の病にかかったイソップが自殺をはかるなど自暴自棄になっていたとき、それを止めた滝沢先生に向けて、「人間は何のために生きているんですか?」と問うと、先生が「何のために生きるか、それは愛すべき者を愛して戦うためだ」と言った言葉も、後々ぼくの心の糧になり、勇気と希望を与えてくれています。
「人の心を思いやるということ。 それが愛というもんや。 相手を信じ、待ち、許してやること」 (『スクール・ウォーズ』/滝沢賢治の恩師・藤山洋一)
【プロフィール】
松村雄基/1963年11月7日生まれ、東京都出身。1980年にドラマ『生徒諸君!』(テレビ朝日系)でデビュー。現在もドラマ、映画、舞台を中心に俳優として活躍中。
取材・文/廉屋友美乃
※女性セブン2021年10月14日号