中国人民解放軍の台湾侵攻の可能性について、米国のトランプ政権時代の高官や現役の米軍幹部らが次々と危機感を表明している。
2018年の米国家防衛戦略の策定で責任者を務めたエルブリッジ・コルビー元国防副次官補は9月中旬、米ワシントンDCで開催された「グローバル台湾研究所(GTI)」の第5回年次総会で、中国軍が台湾海峡を封鎖してミサイル攻撃し、米国が介入する前に台湾を占領してしまうという速攻作戦を展開する可能性が高いと指摘した。
また、ロバート・オブライエン前大統領補佐官(国家安全保障担当)はGTI総会の基調講演で、コルビー氏同様、中国軍の台湾侵攻作戦の可能性が高いと指摘。「台湾は非常に恐ろしい危機に直面している。台北は、台湾の防衛策を検討するホワイトハウスの担当者から前向きな姿勢を引き出せるよう、一層努力しなければならない」と危機感を表明した。米政府系報道機関「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」が伝えた。
GTI総会で、コルビー氏は中国軍の台湾侵攻作戦に関する「最も危険なシナリオ」を提示。ミサイル攻撃で台湾の攻撃能力を奪って、台湾を軍事支配下に置くという「既成事実」を作ってしまえば、米国、日本、オーストラリアなどは、この現実を受け入れざるを得なくなると分析した。
コルビー氏は「これは非常に現実的で可能性のあるシナリオで、その時には米国をはじめとする各国はどのような手も打てず、この新しい現実に呆然とするに違いない」と強調した。
また、オブライエン氏は「台湾は、中国による陸海空軍共同の侵攻あるいは(禁輸などの経済措置で台湾の孤立を図る)グレーゾーン作戦を阻止するために自らを強化する必要がある」との考えを明らかにしている。