ドラマの定番と言える「学園ドラマ」。熱血教師が奮闘したり、不良少年たちが更生したり、部活動に打ち込んで全国大会を目指したり……さまざまな学園ドラマがあるが、そのスタイルは時間とともに変化している。そこで、1960年代以降の学園ドラマの歴史を振り返る。
1960~1970年代の学園ドラマ
「日本で本格的な学園ドラマが制作されたのは1960年代半ばのこと」と語るのは、ドラマの歴史に詳しい同志社女子大学学芸学部教授の影山貴彦さん。
「夏木陽介さん主演の『青春とはなんだ』(1965年・日本テレビ系)や、竜雷太さん主演の『これが青春だ』(1966年・日本テレビ系)が代表的。まだ、先生という存在が偉いと考えられていた頃に若く溌剌(はつらつ)とした先生が生徒の悩みに寄り添い、ともに成長していく姿が新鮮に感じられ、『飛び出せ!青春』(日本テレビ系)のように学校を舞台にした青春ドラマが次々と制作されるようになりました」(影山さん)
1980年代の学園ドラマ
1979年10月に『3年B組金八先生』(TBS系)の第1シリーズが放送開始した。
「金八先生がそれまでの学園ドラマと一線を画したのは、“受験戦争”“中学生の性問題”など、当時日本の教育現場でリアルに起きていた問題を取り上げてドラマにしていたからです。
特に1970年代後半から1980年代前半にかけては、中高生の非行問題が深刻化。1983年の『積木くずし~親と子の200日戦争~』(TBS系)は、不良少女となった中学生の娘と父親の対峙を描いた作品ですが、家庭内暴力のシーンもありました。最高視聴率は45.3%を記録。社会現象となりましたね」(影山さん)
1990年代の学園ドラマ
1990年代はバブル経済の崩壊を機に、先行きが不透明な時代となった。
「それ以前にもいじめ問題はありましたが、1990年代以降は学園ドラマでもいじめ問題を積極的に取り上げるようになりました。『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら〜』(1994年・TBS系)では、堂本剛さん演じる少年が、目を覆いたくなるような残酷ないじめを受け、命を落としてしまうというショッキングな内容でした。
その一方、『GTO』(1998年・フジテレビ系)は、元暴走族の教師がいじめなどの問題に立ち向かい、解決していく姿に快活さを感じ、大ヒットしました」(影山さん)