自民党総裁選に勝利した岸田文雄氏が10月4日、国会で第100代首相に指名され、岸田内閣が発足した。ところが、「若返り」「世代交代」を図ったはずの閣僚人事は、フタを開けてみれば平均年齢は61.81歳と、菅内閣発足時の60.38歳を上回る結果になってしまった。初入閣が13人もいるはずなのに、いったいなぜなのか。
平均年齢を引き上げたのが、ともに御年77歳という2人の新大臣である。全国紙政治部記者が語る。
「農林水産大臣の金子原二郎・参院議員と、国家公安委員長の二之湯智・参院議員です。2人とも安倍・菅政権の8年間でずっと入閣待機組となっていて、今回ようやく念願が叶いました。
金子氏は長崎県知事や参議院予算委員長、二之湯氏も総務副大臣、党参議院政審会長などを歴任していますが、ともに党内では目立った存在とはいえません。もっとも、今回のポストはそれほどプレッシャーのかかるものではないでしょう。
農水大臣はTPPに伴う農家への補償問題が一段落ついた今、あまり大きな喫緊の課題は見当たりません。国家公安委員長についても、警察のお目付役と言いながら実務はあまりない。ともにいまや名誉ポスト的な意味合いが強いのではないでしょうか」
2人が起用された背景には、派閥の影響力が見て取れると、ベテラン政治ジャーナリストは言う。