臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、妻でフリーアナウンサーの夏目三久が芸能界を引退し、再び注目を集めている芸人の有吉弘行について。
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フリーアナウンサーの夏目三久さんが9月30日をもって芸能界を引退した。彼女が最後の仕事に選んだのは、「マツコ&有吉 怒り新党解散!!生放送2時間スペシャル」(テレビ朝日系)。出会うきっかけとなった同番組で夫の有吉弘行さんと最後の共演を果たし、芸能界に別れを告げた。
オープニングに現れた彼女は、白いブラウスに黒いジャケット、タフタとフリルたっぷりの黒いロングスカートを着用。首元には彼女の幸せを表しているかのような幾重にも重なった真珠のネックレスが輝いていた。そんな幸せそうな彼女の隣りには、有吉さんがこれまた黒いスーツで登場。なんとなく冠婚葬祭ムードが漂うが、挨拶をしながら2人が見せたはにかむような笑顔が似ていたのが印象的だった。
有吉さんの表情が優しく温かく見えただけに、「毒舌王」と呼ばれる彼のイメージとのギャップが感じられた。と書きたいところだが、振り返ってみると、毒舌というイメージが自分の中で先行しているだけで、実際には彼の印象に対して違和感がないことに気付いたのだ。ではそう感じたのはなぜなのか?
有吉さんはかつて、「猿岩石」というお笑いコンビで一世を風靡したが、その後仕事が無くなるという“天国と地獄”を経験している。その後、あだ名芸で復活するきっかけを掴むと、今やテレビで見ない日は無いほどの人気芸人となった。毒舌を吐いても嫌われることはなく、多くの番組でMCを務めるほどの安定感を発揮した。
世間ではその理由について、「毒舌を吐いたのは復活し始めた最初だけ」、「視聴者が感じていることを鋭い言葉で代弁している」、「毒舌を吐きながらも謙虚さが感じられるバランス感覚を持っている」などと分析されてきた。