いつの時代もヤクザ映画は観るものを高ぶらせてきた。ただ、現役ヤクザがヤクザ映画を観たら、どんな感想を持つのか? 「そもそも映画を見るのか」「ヤクザ映画のプロデュースに興味はあるか」「やるならキャスティングはどうするか」といったことを、ライターの鈴木智彦氏が現役組員100人に聞いた。鈴木氏が綴る。
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【Q1】「劇場に映画を観に行くか?」
・よく行く 9人
・たまに行く 25人
・もう数年行っていない 33人
・もう何十年も行っていない 29人
・映画館に行ったことがない 4人
かつて映画は小屋で開かれる興行の一種だった。興行は落語をのぞいてヤクザが仕切っていたため、浪花節のように原則ヤクザ礼賛であり、またヤクザのシノギにもなっていた。
戦後、無軌道な時代はヤクザが映画館の用心棒を務めており、土地のヤクザは青たんをきって入場する(顔パスでの無料観劇)行為に憧れた。そのためか昭和のヤクザはよく映画館に足を運んだ。当時、映画館は二本立て、三本立てが主流で、映画の合間にはアイスクリームの売り子が劇場内を練り歩いたが、ほとんどはヤクザのシノギだった。
【Q2】「ネットフリックスなどの動画配信サービスを観るか?」
・はい 34人
・いいえ 18人
・いずれ加入したい 31人
・興味がない 17人
3割の人間がすでに契約済みだが、暴力団はクレジットカードを持てないので、家族や愛人、友人名義で観ているという。ネットフリックスにはオリジナル作品があり、その中にはヤクザ映画もある。
「ガイジンは俺らをニンジャの仲間と思ってるんだろうな」(稲川会系組長)
ヤクザの評判はあまりよろしくない。
【Q3】「ヤクザ映画をプロデュースしたいか?」
・やってみたい 47人
・興味ない 26人
・場合による 27人
2000年前後、Vシネマ全盛期になると、ヤクザたちは自分たちが出資し、ヤクザ映画の製作にタッチするようになった。我が組織の物語からスタートし、次第にあちこちの題材を軒並み実録映画に仕上げていった。一種、会社の社史のようなものだから批判精神は皆無で、ベタベタの親分賛歌を映像化していた。一般人が観て面白い作品はほとんどない。
基本、ヤクザは目立ちたがりのミーハーなので、映画製作に関わったり、芸能人と交流したりするのは大好きだ。興味がないと冷淡だったとある組長は、以前、自分たちの映画を作るために4000万円出資し、詐欺にあって懲りたそうである。