水色の大きな袋を提げて歩く佳代さん
逮捕された前例も
「東京・霞が関にある東京地方検察庁に告発状を持っていったのは10月6日16時頃です。こちらから何も聞かないうちから“この書面は資料と一緒に本日中に特捜部に渡します”と預かりになりました。東京地検の事務官の対応には、かなりのやる気を感じました。『預かり』になったので、具体的に捜査をするかどうかの検討に入っていることは間違いありません」
そう話すのは、刑事告発を行った当事者のジャーナリスト、篠原常一郎さんだ。今回篠原さんは「直告」と呼ばれる、警察を通さずに検察に直接訴える手段を選んだという。被害者本人が処罰を求める「告訴」とは異なり、「告発」は第三者が特定の犯罪について処罰を求める行為。では、なぜ篠原さんはわざわざ佳代さんを告発するに至ったのか。その理由を篠原さんはこう説明する。
「今回の結婚は、個人の結婚の自由を超えた、大変なことになったという思いで見守っていました。すると、佳代さんに遺族年金と傷病手当の不正受給という不法行為があった疑いがあることがわかりました。不正受給は詐欺であり、刑事犯に問われる犯罪です。疑惑がこれだけ報道されているのですから、本来であれば警察や検察が動くべきですが、皇室への忖度が働いてなのか、まったく動きが見られません。ですから私が告発するという判断をしたのです。皇室への忖度によって犯罪がもみ消されてしまっては、皇室に対する信頼が失われることにもなってしまいます」
この結婚は国民の関心も高い事象だけに、眞子さまの結婚相手の母親を告発するという行為は、売名のためのパフォーマンスと受け取られる可能性もあったと篠原さんは振り返る。そこで、綿密な調査を行った末に、告発に踏み切ったのだという。まず、遺族年金について。
「自殺した佳代さんの夫は公務員だったので、公開されている給与表を見れば給与額がわかります。それを基に、知人の社会保険労務士とともに遺族年金の額を正確に算出しました。夫が亡くなった2002年3月の翌月から今年2021年4月分まで受給していたとすると、佳代さんが受け取った遺族年金は累計で約2600万円に上ります。しかし、受給開始からしばらくして男性と同棲を始め、生計を一にしていたとされますから、この段階で受給の資格を失っていたことになります。
ところが、佳代さんは『失権届』を出していません。この届けを一度出すと、仮に相手と離婚した場合でも、遺族年金の受給が再開するものではないので、本来受給すべきではない期間は20年近くとなっています」
この期間の受給が詐欺に当たるという。
「詐欺は時効が10年なので、不正受給期間の約20年間のうち、10年ほどの罪を問うことはできないでしょう。それでも1300万円ほどの返金の義務が生じますし、それに応じていないと刑事事件の対象になり得ます」
そう言って、篠原さんはこう付け加える。
「遺族年金には、18才未満の子供がいると加算される制度があります。圭さんが18才になるまでの間は圭さんの分も支払われたので、圭さんも無関係とはいかないですよね」
もう1つの傷病手当については、洋菓子店を休んでいる間に、軽井沢で給与を得ていたかどうかは問題ではないと篠原さんは主張する。
「専門家にヒアリング調査したところ、“働けるほど回復していたという事実”の方が重要なのだそうです。佳代さんは洋菓子店に正規雇用されていて、傷病手当を300万円以上受給していたことから、これは明確に詐欺が成立します」