10月16日からドラマ『二月の勝者-絶対合格の教室―』(毎週土曜22時~、日本テレビ系)の放送がスタートする。7年ぶりの連ドラ主演となる柳楽優弥がカリスマ塾講師・黒木蔵人を演じ、黒木の言動に翻弄される駆け出しの講師・佐倉麻衣役を井上真央が務める。黒木に執着する名門塾のトップ講師を演じるのは加藤シゲアキだ。タイトルにある「二月」は、初旬に有名私立・国立中学の受験があることで知られ、同作は中学受験がテーマとなる。
原作は中学受験の実態を描いた同タイトルの人気漫画で、塾講師による小学6年生たちへの学習指導や志望校選びを巡る葛藤、生徒が抱える家族との問題などをリアルに描き出している。『二月の勝者』同様に、中学受験をテーマにした書籍『天現寺ウォーズ』『翼の翼』なども今夏以降に相次いで話題を呼んでいる。
現実の世界でも、中学受験への注目は高まっている。少子化が進んでいるにもかかわらず、私立・国立中学の受験生は2015年から2021年まで7年連続で増加している。首都圏模試センターの推計によれば、今年2月の私立・国立中学校の受験者数は1都3県で5万50人を数えた。5万人の大台を超えるのは14年ぶりのことだという。
漫画『二月の勝者』の公式コラボ本である『中学受験生に伝えたい 勉強よりも大切な100の言葉』の著者である教育ジャーナリスト・おおたとしまさ氏はこう言う。
「中学受験を選ぶ生徒が増加しているのは、リーマン・ショックによって家計が打撃を受け、私立中学を目指す家庭が減っていたのが、景気回復により戻ってきただけという要素もあるので、一概に受験戦争が過熱しているとは言えません。ただし、中学受験で第一志望に合格できるのはおよそ3人に1人という厳しい現実があるのも事実です」
そうしたなかで、受験テクニックを指南する書籍は数多くあるが、おおた氏は「中学受験をテーマにしたフィクション作品から、親子で学べることはたくさんある」と指摘する。
「中学受験とは、親子で様々な困難に挑む旅路であり、道中で挫折を味わうこともある。その困難を乗り越えることで、大きな喜びや成長が感じられます。そういった物語性があるからこそ、フィクション作品の題材になりやすいし、優れた作品からは中学受験の本質を感じ取ることができます。目先の成績を上げることよりも、プロセスに目を向けることで、親子にとって中学受験が意味のあるものとなるのだと思います」
新ドラマも、中学受験に臨む親子にとって有意義なものとなるのか、注目が集まる。