広島の床田寛樹、野間峻祥らプロ野球選手を輩出した名門・中部学院大の原克隆監督が10月から開催されている秋季リーグ戦開幕直前に突然、解任された。理由は同大野球部で昨年から3度も発生した新型コロナウイルスのクラスターだという。
大学の事務局長はこう説明する。
「コロナクラスターに対する監督責任です。これまで野球部でクラスターが起きるたびに大学内外から厳しい意見や批判が寄せられ、やむを得ず解任の判断を下しました」
現在の原氏について、大学側は「職員として残っていただいています。グラウンドでの指導は禁じていますが、選手のスカウトや部員の就職活動の斡旋などを担ってもらっています」(同前)と説明するが、「クラスター発生の監督責任」を理由とした解任は、法的に認められるのか。
アトム市川船橋法律事務所の高橋裕樹弁護士はこう見解を述べる。
「仮に監督が異議を申し立てた場合、大学の処分は不当と見なされる可能性が高いでしょう。就業規則や雇用契約書に配置転換命令権に関する規定が設けられている場合、原則として、従業員は異動命令を拒否できません。ただし、権利濫用を防ぐために、雇用者は合理的な理由を示す必要があります。
“3度のクラスターに対する監督責任”はクラスターの原因もわかっていないため、因果関係の立証は非常に難しい。大学内部から批判が相次いでいるのも原氏の責任とは言い切れないでしょう」
現在、部員、保護者やOBが原氏の監督復帰を求める署名運動を開始し、混乱が広がっている。保護者の一人は「学校と対立する考えはなく、原さんに監督復帰してもらいたいだけ」と口にする。騒動はどう決着するか。