約2年ぶりの優勝というかたちで「スイング改造」が実を結んだ。10月10日に最終日を迎えたスタンレーレディスで首位と2打差でスタートした渋野日向子が、プレーオフの末に逆転優勝を果たした。東京五輪代表を逃すなどの不調からの復活劇となった。
昨年オフから青木翔コーチのもとを離れ、石川遼のアドバイスでトップの位置を低くする新スイング改造に取り組み、ウェッジを4本(46度、52度、54度、58度)入れてのマネジメント重視のゴルフに転換したが、なかなか結果が出なかった。
「スイングを安定させるためにコンパクトにしたものの、飛距離が落ちてバーディーチャンスにつけられなくなっていた。徐々に新スイングが身についてドライバーの飛距離が戻り、4本のウェッジによるショートゲームが活きるようになってきた」(ゴルフ担当記者)
渋野は来季の米ツアー参戦を目指して最終予選会に挑む予定で、優先出場権を手に入れられなくても下部ツアーから挑戦すると宣言している。
「石川遼が米下部ツアーの予選会に挑戦することに刺激された面もあるし、不調時に手のひら返しをした日本のマスコミを見返したい思いもあるのでは」(ツアー関係者)とされるが、米ツアーは女子もドライバーで300ヤード近く飛ばす選手がいる世界。マネジメント重視のゴルフで勝てるのか。プロゴルファーの沼沢聖一氏が解説する。
「まだ完成ではないでしょうが、スイング改造は成功だと思います。本人がインパクトしやすい形になっている。ただ、飛距離は米ツアーで通用しない水準でしょう。一方、パッティングは世界レベル。ウェッジを4本入れれば、プロなら1ヤード刻みで打ち分けられてパッティングの強みを活かしやすくなる。それで飛距離のハンデをどれだけ取り返せるかでしょう」
米国でも“飛ばさなくても勝てます”を実現できるか。
※週刊ポスト2021年10月29日号