国内

暴言・杉田水脈氏を「比例上位に」岸信夫氏が出した「要望文書」の中身

杉田水脈氏は安倍晋三元首相の推薦を受けて2017年に自民党から出馬したとされる

杉田水脈氏は2017年の衆議院総選挙で自民党の比例代表の公認候補として出馬し当選

 衆議院議員総選挙(10月31日投開票)に向けた候補者選びを巡って、公示直前(10月16日)に自民党山口県連が作成した「異例の文書」を入手した。文書は安倍晋三・前首相の弟であり、防衛大臣を務める岸信夫・山口県連会長名義で、党本部の遠藤利明・選挙対策委員長に宛てたもの。自民党の比例中国ブロックの公認決定を巡り、党本部の決定に抗議し、さらには過激な発言で物議を醸してきた杉田水脈氏の掲載順位の優遇を求める内容となっている。

 安倍政権下で起きた森友学園問題を厳しく追及してきたジャーナリスト・相澤冬樹氏はこの文書から、「安倍前首相が比例名簿の順位決定に今でも強い影響力を持っていることが窺える」と指摘する。公示直前に異例のドタバタ劇となった自民党の比例名簿発表の裏側で何が起きていたか、相澤氏がレポートする。

 * * *

 今回、入手した文書を読み解くうえで、まず「山口3区」での自民党公認候補を巡る“騒動”について知っておく必要がある。参議院議員だった林芳正・元文部科学大臣が将来の総理総裁をにらんで鞍替え出馬を表明。現職は二階派の重鎮で31年間議員を務めた河村建夫・元官房長官だったが、岸田政権が誕生し、二階俊博氏が幹事長を退いたことで情勢が一変。岸田派である林氏の立場が強まり、河村氏は引退を勧告され、「長男の河村建一氏の比例単独擁立」を見返りにそれを呑んだのだ。

 筆者が入手した〈第49回衆議院議員総選挙に係る比例代表第二次公認候補者について〉と題された文書はそれに絡む内容だ。日付は自民党が二次公認を発表した翌日にあたる10月16日で、差出人は自民党山口県連会長の岸信夫氏と同幹事長の友田有氏の連名。宛先は党選対委員長の遠藤利明氏となっている。

 河村氏の引退に伴って比例代表の中国ブロックで建一氏が追加公認されたことについて、〈ご本人(注・建一氏)から、山口県連に対しては、何らの要請も申請手続きも出されておらず、当県連から党本部に対して公認決定を願い出た候補でもありません〉としたうえで、〈比例代表中国ブロックの第二次公認候補として河村建一氏が決定されたことに強く抗議を申し上げる〉〈この方は、山口県連とは何ら関わりのない候補であることを確認させていただきます〉と強い調子で抗議している。土壇場で特定の公認候補を批判することも異例だが、それよりも自民党関係者の間で物議を醸したのが最後の3行だ。

〈当県連といたしましては、比例代表中国ブロックでは、既に、現職の杉田水脈氏を第一次公認候補としてご決定いただいており、本候補の名簿上位掲載にご配慮をいただきますよう、強くお願い申し上げます〉

関連キーワード

関連記事

トピックス

広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
《事故前にも奇行》広末涼子容疑者、同乗した“自称マネージャー”が運転しなかった謎…奈良からおよそ約450キロの道のり「撮影の帰り道だった可能性」
NEWSポストセブン
筑波大の入学式に臨まれる悠仁さま(時事通信フォト)
【筑波大入学の悠仁さま】通学ルートの高速道路下に「八潮市道路陥没」下水道管が通っていた 専門家の見解は
NEWSポストセブン
広末は再婚へと向かうのか
「これからもずっと応援していく」逮捕された広末涼子の叔父が明かす本当の素顔、近隣住人が目撃したシンママ子育て奮闘姿
坂本勇人(左)を阿部慎之助監督は今後どう起用していくのか
《年俸5億円の代打要員・守備固めはいらない…》巨人・坂本勇人「不調の原因」はどこにあるのか 阿部監督に迫られる「坂本を使わない」の決断
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者(44)が現行犯逮捕された
「『キャー!!』って尋常じゃない声が断続的に続いて…」事故直前、サービスエリアに響いた謎の奇声 “不思議な行動”が次々と発覚、薬物検査も実施へ 【広末涼子逮捕】
NEWSポストセブン
「居酒屋で女将をしている。来てください」と明かした尾野真千子
居酒屋勤務を告白の尾野真千子、「女優」と「女将」の“二足のわらじ” 実際に店を訪れた人が語る“働きぶり”、常連客とお酒を飲むことも
週刊ポスト
再再婚が噂される鳥羽氏(右)
《芸能活動自粛の広末涼子》鳥羽周作シェフが水面下で進めていた「新たな生活」 1月に運営会社の代表取締役に復帰も…事故に無言つらぬく現在
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
《病院の中をウロウロ…挙動不審》広末涼子容疑者、逮捕前に「薬コンプリート!」「あーー逃げたい」など体調不良を吐露していた苦悩…看護師の左足を蹴る
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン