伝説のオーディション番組『スター誕生!』(日本テレビ系)が放送開始50周年を迎えた。石野真子も同番組出身者の1人(1977年 第20代決戦大会合格)。石野が『スタ誕』の思い出を語る。
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物心ついた頃から歌が好きで、自然と「テレビの中の世界で歌いたい」と思うようになりました。母も「あなたは向いていると思う」と応援してくれたので、平尾昌晃先生の教室に通いながら、いろんなオーディションに応募したんです。そして『スター誕生!』から予選会への通知が!!
フレンチポップスの『天使のらくがき』を歌ったのは、他の人たちは歌謡曲が多かったから、その方が目立つかな?と(笑)。今観ると恥ずかしいけど、振り付けも考えたりして。大阪のテレビ予選では会場審査員の得点だけで合格できたのが嬉しかったなぁ。
決戦大会は母に付き添われて上京しました。私にとっては初めての東京でしたから、外国に来たような感覚でしたね。半蔵門のダイヤモンドホテルに泊まって、会場の後楽園ホールにドキドキしながら向かったことを憶えています。それだけにプラカードが上がった時は感激しました。「えーっ、デビューできるの?」って。同じ決戦大会には渋谷哲平さんも出ていたのですが、彼も私と同じ1978年にデビュー。今でも連絡を取り合う大切な同期です。
デビュー後はゲストとして何度も出演させていただいた『スタ誕』は家族的な雰囲気の番組でした。スタッフの方たちがいつも優しくて、「一緒に頑張ろう」と応援してくれる。その中心にいたのがプロデューサーの池田文雄さんで、ご自宅に遊びに行ったこともありました。私が舞台に出演した時は池田さんの奥様が観に来てくださったり、たくさん応援していただきました。
1981年には坂本九さんの3代目の司会のアシスタントもさせていただきました。出場者の緊張を少しでもほぐしてあげられたらよかったのですが、私には難しかった。合格されなかった方にどういう言葉をかけたらいいかわからなかったし、全員が合格できるわけではないので、毎回、胸が締め付けられる思いでした。坂本さんがリードしてくださったのが嬉しかったです。
今の私があるのは『スタ誕』のおかげ。デビューできたこともそうですし、番組が終わってからも、いろんなところで気にかけていただき、関係者の皆様にお世話になっていました。今でも感謝しかありません。
【プロフィール】
石野真子(いしの・まこ)/兵庫県出身。1978年に歌手デビュー。現在は、女優、アーティストとして活躍中。ロサンゼルス日本映画祭2021上映作『大綱引の恋』他に出演。
取材・文/濱口英樹
※週刊ポスト2021年10月29日号