「歌手になりたい」出場者と「あの子を応援したい」視聴者が盛り上げた伝説的番組『スター誕生!』(日本テレビ系)が、放送開始から50年を迎えた。同番組からは数々のスターが生まれたが、残念ながら不合格になりながらも、その後、芸能界で成功したのがマッハ文朱。彼女が思い出を語る。
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第5回決戦大会で同い年の山口百恵さんと一緒になりました。本番前、百恵さんが「テレビ局って、カッコいい人がいっぱいいるね。もし受からなくてもさ、この中から彼氏を見つけられるといいよね」って。そういう発想があったかと驚きました(笑)。
私は牧葉ユミさんの『回転木馬』を歌ったのですが、「バンザーイ、なしよ」組に。控室に戻ると、プロデューサーの池田さんが「君はすごくいいモノを持っている。ただ、身長が高いから、かわいい子路線で売りづらい。まだ13歳だから和田アキ子のような迫力も出せない。みんな考えあぐねたんだと思う」と説明してくれました。
帰り道、初めて自分の大きさを否定的に捉えたけど、ならばこの身体を生かそうと女子プロレスの道に進んだんです。その後、レコード会社からお話をいただき、歌手デビューしました。自分のキャラクターが認められたようで嬉しかった。
レコード大賞新人賞や紅白歌合戦の話もあったそうですが、女子プロ側が断わったとのちに聞きました。年間250試合戦っていたし、興行のほうが大切ですから仕方ないです。合格しなかったけど、私の人生は『スタ誕』から始まった。池田さんの言葉に感謝しています。
【プロフィール】
マッハ文朱(まっは・ふみあけ)/1959年生まれ、熊本県出身。1974年7月1日、プロレスデビュー。翌年3月、『花を咲かそう』で歌手デビュー。試合会場で毎回500枚が完売するほど売れたという。
取材・文/岡野誠
※週刊ポスト2021年10月29日号