衆院選の投票日が10月31日に迫り、各党が支持拡大に奔走している。そんななか、読売新聞10月21日付朝刊が「自民減で単独過半数の攻防」と序盤の選挙情勢を報じると、記事を見た甘利明・自民党幹事長の周辺に動揺が走った。自民党の苦戦はもちろん、各選挙区の情勢では自身の選挙区でも接戦となっていることが分かったのだ。甘利氏が出馬する神奈川13区では、野党共闘で共産党が出馬を取り止め、立憲民主党新人の太栄志氏と一騎打ちとなった。同日付読売にはこうある。
〈党幹事長の甘利と太がしのぎを削る。甘利は自民党支持層の約8割を固めたが、公明支持層の支持は5割半ばにとどまる。太は無党派層への浸透を図る〉
選挙情勢分析において「しのぎを削る」という表現はかなりの接戦を示しており、甘利氏が思わぬ苦戦を強いられているのは間違いない。自民党関係者は言う。
「幹事長になったことで、改めて過去の金銭授受問題がクローズアップされたことがマイナスに働いている。公明党は当初、甘利氏を推薦から外し、第3次推薦でようやく入れたものの、公明支持層には正直受けがよくありません。
選挙を指揮する幹事長がこれだけ接戦状態にあるのは珍しく、甘利氏は相当焦っているようです。記事が出た10月21日に、甘利氏は遠藤利明・選対委員長との連名で『多くのわが党候補者が当落を争う極めて緊迫した状況だ』という『急告』の文書を各陣営に送りましたが、党内では『自分のことじゃないか』と冷ややかな声も上がっている。さすがに落選はないでしょうが、接戦の度合いによっては幹事長としての威信に傷が付き、今後の党運営にも影響が出かねません」