10月に入り、引き分けを挟んで10連敗というドロ沼にはまった巨人の原辰徳監督の去就が球界関係者の注目を集めている。
「連敗の真っ只中にあった10月10日というタイミングで『原監督・続投へ』の記事が出たが、巨人の“機関紙”であるスポーツ報知ではなく、日刊スポーツによる報道でした。日刊スポーツには原監督の信頼する記者がいるためか、記事内容も“正式要請となれば受諾に障害はない模様”と原監督目線の記事だったが、報道が出た以上は、それほど時間を置かずに正式発表があるものと見られていた」(担当記者)
にもかかわらず、球団からの正式発表はなく、宙ぶらりんの状態が2週間近く続いた。10月23日の本拠地最終戦のヤクルト戦で勝利し、巨人がCS進出を決めるとようやく、山口寿一オーナーが報道陣に「続投を要請して、内諾を得た」と明かしたのだ。
今季は原監督にとって3年契約の3年目ということになるが、球団関係者は「読売グループ内では早い段階で契約を1年延長し、後継者の阿部慎之助氏を一軍のヘッド格に据えて帝王学を学ばせることが既定路線になっていたはずだ」と話す。
「今年のドラフトでも球団人事でも“東海大グループ”の勢力が拡大したし、10月5日から阿部氏を一軍作戦コーチに配置転換したのも、“原続投”ありきだからと考えるのが自然です」
それであれば第一報の後、すぐにも発表がありそうなものだが、阿部氏が昇格してから連敗のトンネルに入り、広島に猛追されてCS出場さえ危ぶまれる状態になったことで、続投発表のタイミングを逸してしまったのではないかとみられている。
「広岡達朗氏をはじめ、原監督の采配に反発するOBがいることもあり、連敗中の続投発表はできなかったのだと考えられます。発表のタイミングはCS終了後か、シーズン終了後のどちらかだという声もあった」(スポーツ紙デスク)
続投ありきの見方が多いが、辛口評論で知られる江本孟紀氏は少し違っている。
「原の去就は、本人の決断次第でしょう。GMとして編成の全権を与えている以上は、球団側が原の解任を言い出すのは難しい。最終決断にあたっては本人の意思が8割ぐらい優先されるでしょう。横綱の引退みたいなものですよ。原が責任を感じれば辞任するだろうが、日刊スポーツの記事が原の意思表示だとすれば、辞任はないだろうね。
ただ、この後の展開次第で、たとえばCSのファーストステージで無残な完敗を喫したりしたら、原が責任を感じて辞める可能性はあるかもしれませんね」
シーズン終盤は痛々しい戦いが続き、再建のためにどの選択が最善か、ファンも固唾を呑んで見守る日々が続きそうだ。
※週刊ポスト2021年11月5日号