私たちが暮らす天の川銀河には、生命が居住可能な惑星が「最低でも3億個」存在する──。昨年10月、NASA(米航空宇宙局)が発表した論文が天文学者の間で大きな話題となった。宇宙望遠鏡の観測データを基に算出された数字で、地球に似た環境の惑星は、33光年以内に4つ存在するという。
もっとも、そこに知的生命がいるとは限らず、1光年=9.5兆kmという距離を考えれば時速5万6000kmの宇宙探査機「ボイジャー」でも、到着まで約60万年かかる計算だ。
もはや地球外知的生命との出会いは絶望的にも思えるが、たとえ会えなくても「その存在を確認することは不可能ではない」と考える天文学者は少なくない。
1960年にスタートした「SETI(地球外知的生命体探査)」は、異星人の発する電波を電波望遠鏡でキャッチする試みで、1977年8月、「自然界には存在しない」不可思議な信号の受信に成功した。1974年には地球側から2.5万光年先の星団に電波を送る試みもあったが、宇宙物理学者の故・スティーブン・ホーキング博士は「友好的でない相手にも届いてしまう」と警鐘を鳴らした。
国際宇宙航行アカデミー(IAA)によるガイドラインでは、万一、地球外知的生命からのシグナルを受信した場合は、「徹底的に検証」「確定したら隠蔽せず公表」「勝手に返信しない」といった取り決めもある。
今年7月には、米・ハーバード大の天文学者ら科学者20名が集結し「ガリレオ・プロジェクト」を始動。地球上の天文台ネットワークを利用し、望遠鏡や高精度カメラで捉えたUAP(未確認空中現象)をAIで解析、「地球外文明」の宇宙船を探索する試みだ。
陣頭指揮に当たるハーバード大のアヴィ・ローブ教授は「もはや、技術文明がわれわれよりも先に存在していた可能性を無視することはできない」とし、宇宙船の早期発見に自信を深めている。
※週刊ポスト2021年11月5日号