岸田文雄・新首相のもとで初の国政選挙となった参院静岡、山口両選挙区補選が10月24日に行なわれ、自民党は山口を死守したものの、静岡では立憲民主党と国民民主党が推薦した新人の無所属候補相手に議席を失い、党内に動揺が広がっている。「選挙を仕切った甘利明・幹事長の責任は重い」と自民党関係者は語る。
「岸田首相が2回も応援に入ったのに負けたとなれば、衆院選に向けて首相の顔に傷がつき、あまりにもイメージが悪い。情勢の悪化が伝えられた時点で、人気の高い河野太郎氏や高市早苗氏を投入すべきでした。甘利幹事長が2人の応援入りを避けたのは、衆院選で応援入りの要請が相次いでいるという事情があるにせよ、幹事長自身が毛嫌いしたのでしょう。国政選挙の初陣から岸田氏と総裁選で争った2人に頼っては格好が付かないと思ったのかもしれませんが、負けてしまっては元も子もありません」
甘利氏が2人の代わりに“切り札”として投入したのが、今井絵理子・参院議員と甘利氏自身だった。
「甘利氏と同じ麻生派で岸田氏が総裁選に出た際の推薦人に名を連ねた今井氏は、『女性で若くて知名度も高い』と、いまや甘利氏のお気に入り。静岡の補選だけでなく衆院選でも甘利氏が接戦と見ている重点選挙区に投入していますが、かつての不倫報道でイメージを落としており、選挙区からはあまり歓迎されていません。
それ以上に選挙区から“ありがた迷惑”と思われているのが、甘利氏自身の応援です。今回の補選敗北にも、自民党内からは『甘利さんが応援に入ったのがマイナスに働いたのではないか』と囁かれているほどです」(同前)
党内からこうした声があるにもかかわらず、甘利氏が気にするそぶりはない。自らは全国の選挙区を飛び回り、寵愛する今井氏は、NHKの自民党政見放送にまで登場。今井氏が「自民党女性局長代理の今井絵理子です。本日は岸田総理と自民党の政策をご紹介します」と挨拶すると、岸田首相は「沖縄出身の今井さんはSPEEDのボーカルとして、芸能界で活躍されました」と持ち上げる展開に。これには自民党ベテラン秘書も首を傾げる。