岸田政権は最大派閥の細田派をはじめ、麻生派、竹下派、そして岸田派の主流4派に支えられ、党内基盤は盤石なように見える。しかし、総選挙後には派閥勢力に大きな変化が起き、派閥再編に向かう可能性が高い。
本誌・週刊ポスト前号(10月15日発売号)の選挙予測記事では、各派とも勢力を減らすが、安倍晋三氏の影響力が強い最大派閥の細田派の落選者が最も多いと予想され、当選1~3回の「安倍チルドレン」も半数以上が劣勢で落選の危機にあるという分析を報じた。総裁選でキングメーカーとしての力を見せた安倍氏の「数の力」が低下するのは避けられそうにない。
一方、総裁選の負け組となった二階派や石破派も派閥としての生き残りが難しくなっている。
そうした選挙後の派閥再選を見据えているのが菅義偉氏だ。選挙戦では小泉進次郎氏らとともに兵庫入りして菅グループの候補を応援したかと思うと、一転、東京で二階派候補を応援、さらに地元・神奈川で側近の応援演説に立つなど積極的な応援行脚で「まだ枯れていない」ことを見せつけた。二階派幹部が語る。
「総裁選の負け組だからこそ党内で発言力を持つには数が必要だ。菅さんは総選挙後に菅グループと二階派の生き残った議員を合流させ、新派閥の旗揚げを考えている。先細りの石破派や石原派などを吸収していけば、大きな反主流派閥ができる。河野太郎氏が麻生派の跡目を継げないことがはっきりすれば、グループを連れて菅派に加わってくる可能性もある」
河野氏、石破茂氏、小泉氏らポスト岸田の有力な総裁候補を抱える菅氏が反岸田勢力を結集して「菅派」を旗揚げすれば、失政があればいつでも維新や公明党と連携して岸田政権の倒閣に動く態勢が整う。