薬は飲み合わせによっては注意が必要という意識がある人も、「サプリや健康食品のことは医者に言わなくても大丈夫だろう」と思ってないだろうか。「飲めば飲むほど健康になる」と安易に飲み続けていたら、あなたの身体に重大な異変が起きるかもしれない。
そこで本誌・週刊ポストは日本健康食品・サプリメント情報センターが編集、日本医師会・日本薬剤師会などが監修した『健康食品・サプリメントと医薬品との相互作用事典』から、薬剤師の長澤育弘氏(銀座薬局代表)監修のもと、組み合わせと、その危険度(高・中・低)の一覧表を作成した。
西洋で古くから伝わるハーブを原料にしたセントジョーンズワートは不安やイライラを抑える目的で利用されるが、「薬学部でも習うほど薬との相性が悪い」(長澤氏)。実際、胃薬や抗凝固薬との併用により薬の効果を弱める恐れがあるとして、相互作用事典で「併用禁忌」とされている。
新型コロナ感染症の後遺症として出現することが報告されている味覚・嗅覚障害や脱毛症。それらの症状の改善策として、亜鉛のサプリ摂取に注目が集まっている。しかし、亜鉛は抗リウマチ薬の効果を弱める恐れがある。
「サプリの影響で薬の効果が弱まってしまうと、医師に薬が効かなかったのではと勘違いされ、必要以上の薬が処方される可能性もあります。常に何らかの相互作用が生まれる可能性はあるので、薬を飲む時は、サプリをやめるのが得策かもしれません」(長澤氏)
高齢者の服用が多い骨粗鬆症薬との組み合わせにもこんなリスクがある。医薬情報研究所エス・アイ・シー取締役で薬剤師の堀美智子氏が指摘する。
「鉄やカルシウム、ミネラル類とビスホスホネート製剤というタイプの骨粗鬆症治療薬を同時に摂取してしまうと、互いにくっつき体外に排出されてしまい、薬の作用が減弱する恐れがあります。ビスホスホネートは骨に蓄えられたカルシウムが排出されるのを防ぐ薬なので、排出されては薬を飲む意味がなくなってしまいます。
そのため、ビスホスホネートは朝起きてすぐ服用し、その後30分は何も食べないでくださいと説明しています」