選挙終盤、苦戦が伝えられる甘利明・自民党幹事長は他候補への応援を取り止め、地元入りして支持拡大を訴えている。「選挙の陣頭指揮を執るべき幹事長が自らの選挙区にベタ張りするなど聞いたことがない」と嘆く自民党関係者は、苦戦の理由をこう分析する。
「甘利氏の選挙区である神奈川13区では共産党が野党共闘で出馬を取り止め、立憲民主党新人・太栄志氏との一騎打ちとなったことも影響していますが、それ以上に大きいのは幹事長になったことで過去の金銭問題が改めてクローズアップされたことでしょう。太氏の応援に来た立憲民主党の福山哲郎・幹事長も『説明責任を果たしていない』と追及しており、図らずもその点が争点になってしまっている。与党支持者の間でも動揺が広がっています。
とくに顕著なのが、自民党と連立を組む公明党支持者の反応です。公明党の支持母体である創価学会は婦人部を中心に金銭スキャンダルへのアレルギーが強い。今回の衆院選では、甘利氏は公明党から当初推薦が得られず、三次推薦でようやく入ったものの、あまり浸透していないようです。苦戦が伝えられても、公明党支持者にすれば『なぜ自分たちが助けなければならないのか』というのが本音でしょう」
選挙序盤の情勢を伝えた読売新聞10月21日付朝刊は〈甘利は自民党支持層の約8割を固めたが、公明支持層の支持は5割半ばにとどまる〉と報じており、その後も支持が広がっていない状況のようだ。自民党関係者は、今回の苦戦が選挙後に与える影響を懸念する。