中国人研究者が日本の大学在籍時に奨学金を得たり科研費を使って研究を行ない、帰国後は中国の軍事研究に従事していた―。そこから浮かび上がるのは、日本の税金が中国軍事技術発展のために使われていた可能性が高いという構図である。経済安保問題に詳しい明星大学・細川昌彦教授はこう指摘する。
「対中国への警戒感については防衛省や経済産業省は早くから持っていましたが、文科省や大学の対応は長らく危機意識に乏しいものだった。それが中国への技術・知識流出が続出してしまう原因となってきたのです。これからはより厳密に調査する必要があると言えるでしょう」
今年4月の文科省と経産省の合同調査では、留学生の受け入れ時に安保上の懸念がないかの事前審査について実施していない大学が約4割あった。
まさに、危機は現実に起こっていることを極秘レポートは示唆するのだ。
【プロフィール】
赤石晋一郎(ジャーナリスト)/「FRIDAY」「週刊文春」記者を経て2019年よりフリーに。近著に『韓国人、韓国を叱る 日韓歴史問題の新証言者たち』(小学館新書)、『完落ち 警視庁捜査一課「取調室」秘録』(文藝春秋)がある。
※週刊ポスト2021年11月12日号