衆議院議員総選挙は自民党が単独過半数を維持したものの、大物議員の落選が相次いだ。なかでも甘利明氏は小選挙区で敗北し、比例で復活したものの幹事長辞任の意向を伝えているという。自民党関係者は、これにより菅義偉・前首相が再浮上する可能性が出てきたと指摘する。
「菅さんは今回の総裁選で河野太郎さんを支持しましたが敗北し、同じく河野支持に回った小泉進次郎さんとともに、冷や飯を食わされることになった。一方、同じ神奈川選出の甘利さんは麻生派の跡目争いで河野さんと争っていることもあり、河野さんではなく岸田(文雄)さんを応援し、その論功行賞で幹事長の座を射止めました。これにより“神奈川のドン”の座は菅さんから甘利さんに移ったように見えましたが、今回の選挙で情勢は変わった。
菅さんは支持率の低下で退陣に追い込まれたため、今回の選挙では苦戦が予想されましたが、自身が久々に地元・横浜入りしたこともあり、盤石の勝利を収めました。地元有権者からは、『コロナで状況が悪かっただけ』『菅さんは口下手なだけで、やるべきことはやっていた』と同情の声も上がっていた。甘利さんが幹事長になったことで、過去の金銭問題が蒸し返され批判を浴びたのとは対照的です。菅派の河野さんや進次郎さんも、党内の冷遇にもかかわらず圧勝した。少なくとも神奈川県内においては、菅さんと甘利さんのパワーバランスが再逆転するでしょう」