11月2日、枝野幸男代表は立憲民主党の執行役員会で衆院選の敗北を受けて辞意を表明した。今回の衆院選に向けて野党共闘を進めたが、立憲民主党は議席を減らし、その責任を取った格好だ。首相指名選挙が行なわれる特別国会の閉会後に、立憲民主党は代表選を実施する見込みで、「世代交代」がどのように進むかに注目が集まる。
今回の衆院選は、与野党とともに「世代交代」がキーワードとなった。自民党では熊本2区の野田毅・元党税調会長、東京8区の石原伸晃・元幹事長が議席を失い、立憲民主党でもこれまで選挙で無類の強さを誇った岩手3区の小沢一郎・元民主党代表、茨城7区の中村喜四郎・元建設相が小選挙区で敗れ、かろうじて比例復活する結果となった。自民党関係者はこう話す。
「神奈川13区では72歳の甘利明氏が自民党の現職幹事長としては史上初めて、小選挙区で議席を確保することができず、立憲民主党の44歳の新人候補・太栄志氏に敗れた。全国各地で、世代交代を求める有権者の声をひしひしと感じる選挙戦ではあった。ただ、自民党サイドからすれば、むしろ野党のほうが世代交代を進められていないだろと言いたくなる。民主党時代の20年前から、“党の顔”は全然変わっていないじゃないか」
各党幹部の顔ぶれを遡ってみると、どのくらいの「刷新」があったのかが見えてくる。今回から選挙権を得た18歳の有権者が生まれた2003年の衆院選を見てみると、小泉純一郎・総裁のもとで戦った当時の幹部の面々は安倍晋三・幹事長、額賀福志郎・政調会長だった。その両氏は今回の衆院選でも当選。一方、派閥領袖を見ると平成研の橋本龍太郎氏、清和会の森喜朗氏、宏池会の堀内光雄氏らは、いずれも政界を引退している。
野党に目を向けると、当時の民主党代表だった菅直人氏、幹事長だった岡田克也氏、国対委員長だった野田佳彦氏らは最高顧問や常任顧問に残っており、今回の衆院選でも議席を守った。枝野氏も当時から、党政調会長を務めていた。政治ジャーナリストが言う。
「枝野氏は投開票日のテレビ番組で去就を問われてもはっきり答えられず、責任を取る覚悟が見えなかった。“顔”としての新味もなく、党内からこれでは来年の参院選が戦えないといった声があがるのは当然。とはいえ、次の代表で新しい党の顔になれるような世代交代の旗手も見当たらない。人材不足は深刻だ」