シーズン終盤に大失速し3連覇が消えた巨人。原辰徳監督の采配は批判にさらされることとなった──。今季、原監督はシーズン中にコーチの配置換えを3回も行なっている。「コーチにファームを勉強させたいという意図があった」(巨人番記者)という見方もあるが、元V9戦士でヤクルト、西武の監督として日本一を3回経験している広岡達朗氏は苦言を呈する。
「監督になった以上、コーチを育てる義務がある。原監督の就任した時に“永久に監督ができるわけではないんだから、いいコーチ、後継者を育てて勇退しろよ”と電話した。“分かりました”と言っていたが、できているか疑問だね」
シーズン終盤には阿部慎之助二軍監督が一軍作戦コーチに異動した代わりに石井琢朗一軍野手総合コーチが三軍コーチに降格している。チームはその後、球団史上4度目の10連敗と長いトンネルに突入する。第2次長嶋政権で一軍打撃コーチ、2012年から2015年までDeNAの監督を務めた中畑清氏は、この異動でさらに現場が混乱したのではないかと言う。
「(元木)大介がヘッドコーチで、慎之助が作戦コーチでベンチに入ったけど、これで作戦を立てる人が2人になってしまったし、慎之助の存在感が伝わってこなかった」
シーズン中に目立ったのは、原監督が打撃コーチを差し置いて、不振に陥った岡本、丸佳浩らに指導する姿だった。広岡氏は言う。
「打撃コーチが自分の意見を言えない。V9時代、ワンちゃん(王貞治)に川上(哲治)監督が指導でもしようものなら、荒さん(荒川博)は“オレがバッティングコーチだ”と怒鳴った」
だがコーチにとって人事権を有する「全権監督」の原監督は上司であり、雇用主のような存在だ。これまでの原政権では清武英利GMが年長の伊原春樹氏をヘッドコーチとして登用し、原監督に物言う姿がたびたび報じられてきた。今では監督にコーチが進言する姿は見られない。
「元木の存在感がまったくない。もう少し暴れるかと思ったが、原監督にも選手にも“いい人”になってしまっていた。桑田と手を組んで、選手とケンカするぐらいに檄を飛ばせないとチームは強くならない」(V9戦士の黒江透修氏)