“もの言うキャスター”として人気を得た大越健介氏(写真/共同通信社)
10月4日からキャスターの大越健介氏(60)をMCに迎え、新たにスタートした『報道ステーション』(テレビ朝日系)。大越氏はNHKで政治部記者やワシントン支局長などを歴任し、『ニュースウオッチ9』のMCも務めた大ベテランで、今年6月末にNHKを退職するとテレ朝側が三顧の礼でMCに迎え入れた。10月31日に放送された選挙特番『選挙ステーション21』でも司会を務めるなど、局からの大きな期待を背負っている。ところが、リニューアル後の『報ステ』は意外にも苦戦しているという。
「番組視聴率が伸び悩んでいるのです。初回視聴率こそ11.6%とまずまずでしたが、10月下旬になると2桁を割る日も出てきた。大越さんは安定感は抜群なのですが、炎上を気にしているのか、今は大人しくなってしまっている。視聴者もそつのない進行に物足りなさを感じているようです」(テレ朝関係者)
その状況を打開するために番組スタッフが考え出したのが、「大越氏に無茶ぶりしてアドリブ力を引き出す」ことだった。
「スタッフらは番組中、大越さんに突然台本にないことを振って、アドリブで話さざるを得ない状況を作るように心がけていると言います。それで“発言力”を取り戻してもらおうという作戦です。大越さんは困惑しているそうですが……」(同前)
そもそも大越氏は、NHK時代に安倍政権を忖度なく批判したことで“もの言うキャスター”として人気を得た人物だ。
「新生『報ステ』が大越さんに求めているのもその立ち位置。もちろん、初めて民放の帯番組を任され、まだ様子見しているのだと思いますが、10月14日に番組に岸田文雄・首相が生出演した時も、大越さんは岸田首相が語る政策に『分かりました』と言うばかり。選挙特番でも、岸田首相には『与党が野党と対話することが必要だと私は思います』と柔らかい物腰で発言しただけ。視聴者からは『もっと突っ込んでほしかった』という声も上がっていました。どうにかして“もの言う大越キャスター”のキャラを取り戻してもらおうと、現場は試行錯誤しているようです」(同前)
現状は“もの言われる”立場のようだ。
※週刊ポスト2021年11月12日号