倉田真由美の『凶母』(第1ページ)

「殺されたはずの母親が、実は…」な展開から始まる『凶母』(第1ページ)

 47歳のとき、画業を再開しようと一念発起。思い切ってタブレット端末を購入し、いち生徒としてタブレット端末を使ってイラストを描く講習会に参加したのだが──。

「講習会の生徒はみんな、私よりずいぶん若いんですよね。先生も生徒も20代で、私だけ47歳。仲間もできないし……。まさかプロの漫画家が講習会にいるとは思っていないし、なんか世代の違う女性がきてるなと(笑い)。私が漫画家だとは露ほども思わなかったはずです。

 タブレット端末の使い方といえば、講習のときはできたけれど、あとでやってみても一切身についていなかった。だから諦めて放ったらかし。タブレットがただのまな板になっちゃった(笑い)」

 そんな状況に変化をもたらしたのは、ある友人の奮起だった。

「元々ギャルだった少し年下の女友達が『私、もう40歳だけど、漫画家目指しますわ』ってタブレットを買ったんです。その友達と一緒に、私のママ友でタブレットで描いているプロのイラストレーターがいたので、その人の家に行って女3人で“タブレット会”をやったんです。友達同士で『こんな機能がありますよ』『これやったら楽じゃない?』とお互いに機能を見つけて、みるみるできるようになりましたね」

 友人たちとタブレット端末を使った作画技法を高めつつ、ついに新しい漫画のテーマ探しをはじめ、ようやく辿り着いたのが「ミステリー」だった。

「自分がやれそうなことで他の人がやらないことはなにかと考えた結果、大好きなミステリー作品だと狙い定めました。まずはストーリーを小説形式で書きあげ、今年に入って漫画として描き始めました」

 とはいえ、覚えたてのタブレット端末の操作での執筆は当初はかなり大変だったという。

「30年の紙とペンの歴史があって40代後半でいきなり新しい技術を学ぶのはかなりの大変さがありました。仲間がいなければやれなかったと思います。描くことそのものより、仕組みを学ぶのが大変でした。紙でやったことない人がスタートからタブレットを使うのよりも、もともと紙が染みついている漫画家のほうが、タブレット端末に移行するハードルが高いとは感じました」

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