「薬を飲まずに暮らす」──。誰しも願うことだが、体調や基礎疾患によっては何も飲まないわけにもいかない。特に花粉症で苦しんでいる人にとっては、薬が手放せない人も多いだろう。
花粉症の改善に効果がある薬は様々あるが、自らもスギ花粉に悩む内科医の久住英二医師(ナビタスクリニック理事長)は、漢方薬を服用することが多いという。
「それぞれの病気にピンポイントで対応する西洋医学と違い、東洋医学は症状があるものの客観的な原因や病名がとらえられない症状の治療を得意とします。1つの薬剤に複数の有効成分が含まれていてバランスよく作用する分、副作用の程度は西洋薬より低いものが多いですが、それでも注意も必要です」(久住医師)
久住医師が飲む漢方薬は疲労改善効果のある補中益気湯、睡眠改善効果のある八味地黄丸、花粉症などアレルギー症状に効果のある小青竜湯だ。
「交通機関で働く人や副作用として眠気を催す恐れのある抗アレルギー薬が飲めない仕事の方、受験生の方には、小青竜湯を提案すると喜ばれます。
さらに私は、スギ花粉症の舌下免疫療法の薬であるシダキュアを飲んでいます。花粉症シーズンの終了後から始めて約3年間、定期的に投薬治療をするのが基本的な方法ですが、10~11月に始めても翌春の花粉症シーズンには楽になると思います。
私も症状そのものを感じなくなり、快適になりました。こうしたアレルゲン免疫療法は100年以上前から行なわれており、私自身が患者さんに処方して薬の継続に支障がある副作用が出た人はいません」(同前)
※週刊ポスト2021年11月12日号