「サンリオ展ニッポンのカワイイ文化60年史」では、創刊号以降の『いちご新聞』を展示
長きにわたり愛され続けてきたサンリオ。そのキャラクターやグッズの最新情報をファンに届ける月刊紙が『いちご新聞』だ。サンリオの魅力を語るうえで欠かせない、オリジナリティーあふれるこの新聞は、どのように誕生したのか──。
キキ&ララの名前はいちごメイトがつけた
1975年に創刊した『いちご新聞』は、サンリオの創業者(現会長)の「ファンの交流の場を作りたい」という思いから生まれたという。
「サンリオには、もともとファンとの交流を大切にする社風がありました。『いちご新聞』は、いまでいう“SNS”のようなもの。私たちとファン、そしてファン同士をつなぐために創刊しました」
とは、1995年から2013年までの18年間、編集長を務めた高桑秀樹さんだ。
「いちご新聞の巻頭には、キャラクターの世界観を描いたイラストや漫画を載せるのですが、新しいキャラクターが登場すると、その下に小さく“私たちには名前がありません。どうぞ私たちにステキな名前を付けてください”と入れます。そうすると、読者から多くのおたよりが寄せられるのです」(高桑さん・以下同)
当時は新キャラクターが誕生すると、『いちご新聞』紙上で発表されることが多かった。リトルツインスターズのキキ&ララや、ゴロピカドン、マイメロディの弟・リズムくんの名前はここで公募された。つまり、サンリオのキャラクターは、ファンとの共同作業で形作られていったのだ。
「さらに、ファンの要望を取り入れ、1982年からはオリジナル付録をつけたり、1986年からは人気投票『サンリオキャラクター大賞』を開催。これが人気を博しました。ちなみに、初代1位は『ザシキブタ』でした」
ファンがキャラクターを育て、そのキャラクターは文具など、身の回りにあるグッズとしてファンの日常に寄り添う。そんな幸せな関係を築くための懸け橋として、『いちご新聞』は、いまなお存続し、ファンを魅了し続けているという。
※『いちご新聞』は現在、全国のサンリオショップで購入できるが、1年間の定期購読も可能(送料込みで4200円)。通常1部220円、バックナンバーは1部300円(ともに送料込み)。
取材・文/前川亜紀 撮影/楠聖子
※女性セブン2021年11月11日・18日号