衆院選で公示前の勢力から議席を大きく減らした責任を取って、立憲民主党の枝野幸男代表が辞任することを表明した。新たなリーダーを決める代表選に向けて、様々な名前が取り沙汰されているが、同党関係者が求める“条件”を満たす候補はどれだけいるのか、注目が集まっている。
今回の衆院選では、立憲民主党が議席を大きく減らしただけでなく、代表の枝野氏が自身の選挙区である埼玉5区で“あわや落選”の危機となった。10月31日の20時に開票が始まり、数時間後には各局の選挙特番のインタビューに応じた枝野氏だが、その時点で当確は出ておらず、「自身の選挙区で議席を失ったら代表を辞任するのか」といった質問が投げかけられる場面もあった。立憲民主党関係者はこう嘆く。
「結局、枝野氏の当確が出たのは日付が変わってから。自民党の対立候補とわずか6000票差という薄氷の勝利だった。小選挙区でギリギリまで当確が出ない党代表なんてあり得ないでしょう。神奈川13区で議席を得られずに比例復活した自民党の甘利明氏が幹事長を辞任したことからもわかるように、自分の選挙区で勝てない政治家に求心力が生まれるはずがない。次の代表には、地元の地盤が盤石な人になってもらわないと困る」
立憲民主党の代表選に向けてはすでに複数の名前が取り沙汰されている。11月4日の朝日新聞朝刊では、長妻昭・元厚労相、馬淵澄夫・元国交相、大串博志・役員室長、小川淳也・元総務政務官、泉健太・政調会長の5人を「名前が挙がる主な顔ぶれ」として写真入りで紹介している。
「大串氏は立候補についてメディアの取材を受け、『仲間と相談する』などと答えて意欲を見せているが、地元の佐賀2区では今回、自民候補にわずか8000票差あまりで辛うじて勝利する激戦だった。奈良1区の馬淵氏も対立候補に約9000票差しかつけられなかったし、同氏は希望の党から出馬した2017年の総選挙では小選挙区で敗れて比例復活すら果たせなかった。2人とも“自分の選挙が盤石”という印象はない」(同前)
早々に立候補の意思を表明した小川氏は、今回は選挙区の香川1区で平井卓也・元デジタル相を約2万票差で破ったが、小選挙区での当選は当時の民主党が大勝した2009年以来のこと。対抗馬の平井氏は地元メディアのオーナー一族という強敵でもあり、次回以降も自らの選挙戦が安泰かはわからない。泉氏は京都3区で対立候補に約2万7000票差をつけて勝利し、長妻氏も東京7区で開票開始から程なくして当選確実となり、対抗馬に約4万3000票差をつけた。政治ジャーナリストが言う。
「長妻氏は、当時の民主党に猛烈な逆風の吹いた2012年の総選挙でも、自民党の松本文明氏に約2万票差をつけて勝利しており、地元の支持は厚い。ただ、かつての民主党政権で要職を務めたイメージが強いだけに、党のカラーが刷新された印象にはならないところが新代表に相応しいのか悩ましいところだろう」