国内

京王線刺傷事件 動画撮影者が明かした「記録しなければ」という思い

車内は騒然

火の手も上がる非常に緊迫した現場だった(写真はしずくβ(@siz33)さんのツイッターの動画より)

「危ない危ない!」、「早く早く早く!」。煙が充満する車両内で、悲鳴をあげながら逃げ惑う乗客たち──。10月31日夜、東京・調布市を走行中の京王線上り電車内で、乗客17人が刃物で切りつけられるなどして重軽傷を負った刺傷事件。この事件を伝える報道で繰り返し使用されたのが、乗客が撮影してツイッターにアップした車内の動画だった。

 撮影者は30代男性のアカウント名・しずくβさん(@siz33)。現場の様子をしずくβさんに聞いた。

「もともと自分はお祭りやイベントを撮ってアップするのが趣味で、当日はハロウィンの騒動を撮影するために京王線で渋谷駅に向かう最中でした。異変が起きたのは調布駅を過ぎてすぐ。後方車両から6~7人の乗客が走ってきて、そのうちワラワラと人が続いてきた。ただ事ではないと分かりました」

 しずくβさんは5両目にいたが、逃げずにスマホで撮影を開始した。

「撮影者魂が刺激されたというと不謹慎ですが、何が起きているのか記録しなければと思ったんです。雪崩のように人が走ってきて、先の車両がギュウギュウで移動できなかったということもあります。そうこうしているうちに炎が上がり、煙が充満し始めた。恐怖心で足がすくみましたが、カメラは止めませんでした」(同前)

 ツイッターに動画をアップすると、メディアからの使用申請が殺到した。

「テレビ各局に加えて全国紙、米国のCNNからも依頼が来ました。ギャラは一切要求していませんし、ツイッターにも報道機関向けに『自由に使用してください』という旨を記載しています。

 事件後は“撮影している暇があったら助けろ”といった非難の声がダイレクトメッセージで届きましたが、貴重な記録だと言ってくださる関係者も多かった。安全な鉄道運行への資料となればうれしい。いまはただ、被害に遭われた方の無事を祈るばかりです」(同前)

 一市民の勇気が、現場の緊迫を世界に伝えた。

写真提供/しずくβさん

※週刊ポスト2021年11月19・26日号

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