9月17日より公開中のオムニバス映画『MIRRORLIAR FILMS Season1』。本作は、安藤政信(46才)や三吉彩花(25才)など注目の俳優らが監督を務めた9つの短編から成る映画制作プロジェクト。新進気鋭のクリエイターと肩を並べ、ベテラン映画監督も参加している。映画『百円の恋』やNetflixドラマ『全裸監督』などを手掛けた武正晴監督(54才)もその一人。今作『暴れる、女』で描いた“強い女性”についての考えや、撮影現場の向き合い方を聞いた。
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とあることがきっかけで、引きこもり生活からボクシングにのめり込んだ『百円の恋』の一子、不倫騒動を起こし左遷された『きばいやんせ!私』の女子アナ・児島貴子など、武監督作品にはタフな女性が描かれることが多い。刑務所からの出所後、食欲、性欲などあらゆる欲望を全開にし、復讐に燃える『暴れる、女』の主人公・響子もそうだ。武監督が、逆境に負けず自身で道を切り開く女性の姿を描き続けるのはなぜか。
「男に比べて、女の人の方が不条理なことをずっと経験していると思うんです。僕は男だから、その意味で女性は描きやすいとは言えない。でも、男より厳しい状況にいるからこそ、それを乗り越えていく姿は作劇として魅力あるものが作れる気がします。
とは言ってもカメラを役者に向ける時は、女性だからといって特別なにか意識するわけではありません。女性だろうが男性だろうが、作品の中のキャラクターが魅力的に見えるように撮りたいと思っています。性別の括りよりも、性格が良いとか悪いとかも含めて人間としての魅力を表現したいんです。その人の威力というかね。その意味では、俳優さん自身から滲み出るものも大きいので、キャスティングは大事にしています」(武監督・以下同)
武監督の現場は、キャスト、スタッフ全員がキャリアと実力のあるプロフェッショナルであることも多い。現場ではリハーサルもそこそこに本番に入ることも多く、非常に緊張感のある現場だと語る俳優もいる。
「脚本の段階で魅力ある人物設計を作って、今作のように足立紳さん(49才)のようなベテランの脚本家に書いてもらった上で、キャスティングを練っています。実力のある役者たちが揃ったら、どう撮ろうか考えるよりまずはやってみた方が良いんじゃないかと思うんだよね。それだけのメンバーがいるんだからまずはやってみて、そこから差し引きを考えた方が良いと思うんです。スタッフ側としては、俳優が入ってきた時にそれができるような環境作りをしておけば良いだけであって」