国際情報

中国、毛沢東の息子を揶揄しただけで逮捕 文革と同じ雰囲気の指摘も

あの時の雰囲気が?

あの時の雰囲気が?

 中国では習近平指導部の政治姿勢が毛沢東主席の文化大革命(1966~1976年)の時と同じように、当局の政治姿勢を批判すると弾圧されるという雰囲気が色濃くなっているとの見方が知識人の間で強まっている。

 朝鮮戦争が題材の大作映画「長津湖」について、江西省南昌市の市民がネット上で、毛沢東主席の息子である毛岸英氏が朝鮮戦争で従軍中の1950年11月25日に卵焼飯を作っていた際に爆撃され死亡したことにちなんで、「あの卵炒飯は朝鮮戦争の中でも最高のものだった」と冗談交じりに書き込んだところ、南昌市警察本部によって、「英雄と殉教者の名誉を辱めた」との疑いで逮捕されていたことが明らかになった。

 毛岸英氏は従軍中、米軍機の爆撃で死亡しているが、岸英氏のいた場所が米軍に分かったのは、安寧氏が線上での電気の使用禁止の規則を破って、炒飯の調理をしていた火を米軍機が発見したためだったという話が中国では広く知られている。

 このため、この市民が逮捕されたのは、毛沢東の息子で「英雄」として伝えられている岸英氏を侮辱したと解釈されたからだ。

 警察の発表によると、逮捕された市民は「朝鮮戦争に従軍した毛岸英氏ら中国人民義勇軍の名誉を貶めたのは事実です」と供述しているという。

 これについて、江蘇省在住の時事評論家、張建平氏は香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」の取材に対して、「これは不当な罪だ。岸英氏が炒飯を作っていて、爆撃を受けて死亡したことは事実であり、岸英氏を侮辱したものではない。これは、私が若いころの文化大革命時の当局に反対する者を弾圧するやり方に非常によく似ている。こうした事態は、習近平国家主席が毛沢東の信奉者であることと強く関係がある」と指摘している。

 中国社会には政治的に高い緊張状態が蔓延しつつあるようだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

「ミスタープロ野球」として広く国民に親しまれた長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
《“ミスター”長嶋茂雄さん逝去》次女・三奈が小走りで…看病で見せていた“父娘の絆”「楽しそうにしている父を見るのが私はすごくうれしくて」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ犯から殺人犯に》「生きてたら、こっちの主張もせんと」八田與一容疑者の祖父が明かしていた”事件当日の様子”「コロナ後遺症でうまく動けず…」
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「本人にとって大事な時期だから…」中居正広氏の実兄が明かした“愛する弟との現在のやりとり”《フジテレビ問題で反撃》
NEWSポストセブン
デフサッカー男子日本代表が異例の活動中止に…(時事通信フォト)
【デフリンピック半年前の騒動】デフサッカー男子日本代表が異例の活動中止「監督は聴覚障害に理解があるはずでしたが……」 ろう者サッカー協会が調査へ
NEWSポストセブン
長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督からのメッセージ(時事通信フォト)
《長嶋茂雄さんが89歳で逝去》20年に及んだ壮絶リハビリ生活、亡き妻との出会いの場で聖火ランナーを務め「最高の人生」に
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「兄として、あれが本当にあったことだとは思えない」中居正広氏の“捨て身の反撃”に実兄が抱く「想い」と、“雲隠れ状態”の中居氏を繋ぐ「家族の絆」
NEWSポストセブン
今年3月、日本支社を設立していたカニエ・ウェスト(時事通信フォト)
《カニエ・ウェストが日本支社を設立していた》妻の“ほぼ丸出し”スペイン観光に地元住人が恐怖…来日時に“ギリギリ”を攻める可能性
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《子どもの性別は明かさず》小室眞子さんの第一子出産に宮内庁は“類例を見ない発表”、守谷絢子さんとの差は 辛酸なめ子氏「合意を得るためのやり取りに時間がかかったのでは」
NEWSポストセブン
現在、闘病中の西川史子(写真は2009年)
《「ありがとう」を最後に途絶えたLINE》脳出血でリハビリ中の西川史子、クリニックの同僚が明かした当時の様子「以前のような感じでは…」前を向く静かな暮らし
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
六代目山口組の新人事、SNSに流れた「序列情報」 いまだ消えない「名誉職」に就任した幹部 による「院政説」
NEWSポストセブン
元女子バレーボール日本代表の木村沙織(Instagramより)
《“水着姿”公開の自由奔放なSNSで話題》結婚9年目の夫とラブラブ生活の元バレーボール選手の木村沙織、新ビジネスも好調「愛息とのランチに同行した身長20センチ差妹」の家族愛
NEWSポストセブン
宮城野親方
何が元横綱・白鵬を「退職」に追い込んだのか 一門内の親しい親方からも距離置かれ、協会内で孤立 「八角理事長は“辞めたい者は辞めればいい”で退職届受理の方向へ」
NEWSポストセブン