芸能

佐藤健が主演作で見せた独立後の「新境地」 怒りの叫びは圧巻の演技

松本潤と佐藤健の仲とは

話題作への出演が後を絶たない佐藤健

 佐藤健(32才)が主演を務める映画『護られなかった者たちへ』が10月1日より公開中だ。SNSなどの口コミには「佐藤健の演技に序盤から惹き込まれた」「主人公を自分と重ねて見てしまった」といった言葉が並び、佐藤の演技に注目する声が多く見られる。映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんも「佐藤の新境地を見た」と語る。

  * * *
 本作は、作家・中山七里(59才)による同名ミステリー小説を、映画『糸』や『明日の食卓』などを手掛けた瀬々敬久監督(61才)が映画化したもの。東日本大震災から10年目の仙台で起きた殺人事件をきっかけに、現代社会の根深い問題と対峙しなければならない人々の姿を描き出している。瀬々監督が主演の佐藤とタッグを組むのは、2017年に公開され大ヒットを記録した『8年越しの花嫁 奇跡の実話』に続いて2度目。本作は両者にとって、新たな代表作となった印象だ。

 物語のあらすじはこうだ。東日本大震災から10年目の仙台で、被害者が全身を縛られたまま餓死させられるという不可解な殺人事件が発生。捜査線上には、別の事件で服役し、出所してきたばかりの利根泰久(佐藤健)という1人の男が容疑者として浮上する。被害者たちとこの利根には、何らかの関係があるようだ。事件を追う刑事の笘篠は、被害者らが“同じ福祉保険事務所で働いていた”という共通点を見つけ出し、それを手がかりに利根に迫っていく。

 東日本大震災や生活保護といった、実社会で私たちが直面する事象や問題を描いた本作は、ミステリー作品という以上に“社会派映画”の側面が強い。これを描くには、脚本と同じくらい、観客の共感を呼べるだけの俳優の説得力ある演技が必要だ。事件を追う笘篠刑事役に扮する阿部寛(57才)は、自身が震災による傷を負いながら、10年目のこの地でなぜこんなにも凄惨な事件が起きてしまったのか、その真実への追求を果たすさまを、義憤と悲哀に満ちた演技で表現している。

 事件のカギとなる保健福祉センターで働く円山幹子役には清原果耶(19才)が配され、『おかえりモネ』(NHK)とは異なる重々しい演技を披露し、作品の強度を高めている。そして、倍賞美津子(74才)が円熟味を感じさせる演技で作品のテーマを体現。そのほか、林遣都(30才)、永山瑛太(38才)、緒形直人(54才)、吉岡秀隆(51才)らの手堅い演技が物語に深みを与えている。この強力な布陣の中心に立っているのが、主演の佐藤健だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン