〈14歳にしか見えない〉。11月1日に始まったNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』。初回視聴率は16.4%と前作『おかえりモネ』を下回る結果となったが、ヒロイン・上白石萌音(23)の演技には称賛の声が集まった。
同作はラジオ英語講座とともに歩んだ“3世代のヒロイン”の物語で、上白石は深津絵里(48)、川栄李奈(26)に繋がる「昭和」を生きる初代ヒロイン・橘安子を演じる。
安子は岡山の和菓子店に生まれた純粋な女の子。14歳でラジオから流れる英語講座に出会ったことで英語に興味を抱き、運命が変わっていく。朝ドラに詳しいライター・田幸和歌子氏が語る。
「親しみやすく素朴な雰囲気が時代的にもしっくりきますし、前掛け姿で草むらを歩く姿の可愛らしいこと。中学生と言われても違和感がありませんでした。岡山弁もとてもナチュラルに聞こえます。今後は英会話のシーンにも期待しています」
上白石が抜擢された背景には、「英語力が評価されたのではないか」(テレビ業界関係者)という声がある。というのも、小学校3~5年生の時期をメキシコで過ごしており、語学が堪能なのだ。
桂三枝(現・文枝)に落語の英語指導をした経験のある京都外国語大学のジェフ・バーグランド教授が言う。
「彼女の英語を聴きましたが、発音もイントネーションもネイティブと遜色なく、指導の必要は一切ありません。『赤毛のアン』の朗読で過去分詞形容詞の『freckles(そばかすがあった)』という単語も理解して綺麗に発音していた。あと日本語を話す際は奥ゆかしさがありますが、英語を話す時は明朗快活な感じがする。これこそ英語が身についている人の特徴です」
放送プロデューサーのデーブ・スペクター氏もこう語る。
「演技も歌も上手い、その上に語学力もあって、競馬で言ったら3連単ですよ! 英語はハリウッドでも通用するし、渡辺謙さんも焦っちゃうかもしれない。真面目な話、ハリウッドからオファーが来るかもしれませんよ」
朝ドラで国民的女優となった暁には、「ハリウッド進出」の日も近いか。
※週刊ポスト2021年11月19・26日号