中国の民間研究機関、胡潤研究院が10月27日に発表した2021年版の中国長者番付によると、飲料水メーカーの農夫山泉を創業した鍾●●(●=目へんに『炎』)氏が資産額3900億元(1元は約17.7円、約7兆円)で中国一の富豪になり、2位は字節跳動(バイトダンス)を創業した張一鳴氏で資産額は3400億元、3位は車載電池大手・寧徳時代を創業した曽毓群氏で資産額は3200億元だった。
一方、昨年まで4年間連続トップだったアリババ創業者であるジャック・マー氏は、今年5位に転落。この1年間で資産額は1450億元減少。アリババと同じ業界で、昨年2位だったテンセントCEOのポニー・マー氏の資産額は昨年より19%減少し、2つ順位を落とし4位となった。両者とも習近平指導部の規制強化が大きく影響した形だ。
このところメディアで債務不履行(デフォルト)問題が取り上げられている不動産開発大手・中国恒大集団の創業者である許家印氏は、前年の5位から70位に順位を大きく落とした。許氏の総資産は730億元(約1兆3000億円)と、この1年で1620億元(約2兆9000億円)減っており、不動産業界の苦境を浮き彫りにした形だ。許氏は2017年に番付トップに躍り出たが、政府による不動産融資への規制強化を受け、業績が一気に悪化した。
また、塾の禁止などの政府の通達により、教育業界の業績は劇的に悪化。「好未来」の創業者、張邦●(●=品の口が『金』)氏の資産額減少率が最も高く、昨年比94%減。同じく教育大手「新東方」の創業者、兪敏洪氏の資産額も同260億元から75億元と激減した。
全体を見ると、今年10億ドル以上の資産を築きランク入りした富豪は前年比22%増加し、前年の2398人より520人多い2918人になり、平均資産額は20億元を超えて、10年前の3倍に増えた。
地域別に見ると、北京が引き続きランク入りした富豪の最も多い都市で341人。深センは前年より26人増えて301人になり、2位の座をキープ。上海は78人増えて294人となり3位。4位は杭州で、5~7位には順に香港、広州、蘇州となり、以上の7都市で全体の半分を占めている。
業界別では、製造業はランク入りした富豪の人数と資産額の割合が最も急速に上昇、トップの業界となり、ランクインした数も全体の27%を占めた。そのうち、パソコンやスマートフォンなどの先進的製造業が全体の60%だった。2位はフィットネスクラブやジムなどの総合健康産業で全体の10.8%を占めている。
昨年トップだった不動産業のランクインした富豪数は減少を続け、9.4%で3位だった。ここでも、政府の規制による業界の浮き沈みが浮き彫りになっている。