岸田文雄・首相と公明党の山口那津男・代表は11月10日に会談し、今月19日にも閣議決定する予定の経済対策に盛り込む「18歳以下への10万円相当の給付」について、「年収960万円以下」の所得制限を設けることで合意した。山口代表は「(子供がいる家庭の)ほぼ9割を対象にできるということで、大きな分断には繋がらない」と述べたが、給付を受けられない層からは反発の声もあがっている。
「18歳以下への10万円給付」は、公明党が先の衆院選で「未来応援給付」と題して掲げたもので、選挙での与党勝利を受けて実現に向けて動きを活発化させていた。全国紙政治部記者が言う。
「当初、公明党側は18歳以下への一律現金給付を求めていましたが、自民・公明両党の幹事長会談などを経て、所得制限を設けたうえで、5万円は現金で、残りは5万円相当のクーポンを支給することで合意に至りました」
たしかに、山口代表が述べたように年収1000万円を超える人は限られている。国税庁の「民間給与実態統計調査」(令和2年分)によれば、給与所得者の1人あたりの平均給与は433万円(男性532万円、女性293万円)。給与所得が1000万円超となるのは、全体の約4.6%となっている。
ただ、「ほぼ9割」が対象ということは、「およそ1割」は対象外ということでもある。金融機関に勤務する40代男性は「納得しがたい」と不満を隠さない。
「うちには5歳と3歳になった子供2人がいるが、私の年収が1000万円を少し超えるくらいなので、今回の給付の対象になりません。もちろん、困窮する家庭に公的支援が必要なことは理解しています。ただ、私も楽をして稼いでいるわけではないし、帰宅が深夜になることもある激務だから、会社の近くに住まなくてはならず住居費もかさむ。都内に住んでいれば、生活費は高くつきます。
税金や社会保険料だって多く天引きされるから、年収1000万円でも手取りは700万円台です。子供が何人もいれば決して“裕福な生活”というわけにはいきません。各種援助も受けられないことがほとんどで、私くらいの年収の人間が、いちばん損をしているような気持ちになってしまう」