小選挙区で落選させたはずの不行跡議員の多くが比例で復活し、「自民党に勝たせすぎた」と臍(ほぞ)を噛んでいる有権者は少なくないのではないか──。だが、リベンジのチャンスは近くやって来る。来年夏の参院選挙まで1年を切った。
参院選の場合、選挙区の候補者は比例代表に重複立候補できないし、比例候補も全国の有権者に自分の名前を書いてもらった得票数で当落が決まる。衆院選より落選運動が威力を発揮する選挙制度といえるのだ。
来夏はどんな政治家が改選を迎えるのか。参院改選組は“下半身スキャンダル”の宝庫ともいえる。
野田聖子・こども政策担当相の元夫(事実婚)として知られる鶴保庸介・元沖縄北方相(和歌山選挙区)は、18歳年下の女性と“デキ婚”し、出産から2か月後に離婚届を出して、養育費の支払いを滞納するなど元妻とトラブルになっていたことを本誌・週刊ポストが報じた。
三原じゅん子氏(神奈川選挙区)は交際中の男性を次々に公設秘書にして「公私混同」を批判されてきたし、元神戸市議との「パジャマ不倫」を批判された今井絵理子氏は、お相手が政務活動費の不正受給事件で立件(有罪判決)された後に交際宣言していた。
コロナ対応に追われる厚労省での“職場不倫”が報じられたのが自見英子・自民党女性局長だ。小児科医でもある自見氏は厚労政務官だった昨年、一緒にダイヤモンドプリンセス号の対応にあたった橋本岳・厚労副大臣と議員宿舎などで密会していたことが報じられた。
現職大臣にもスキャンダルがある。末松信介・文科相(兵庫選挙区)は選挙時に自分の政党支部から受けた1157万円の寄附の処理について市民団体から政治資金規正法違反で告発され、前回改選時に収支報告書の訂正を迫られた。
二之湯智・国家公安委員長(京都選挙区)は公設秘書だった男が選挙区内での現金1億円の強盗致傷で逮捕され、今年3月に懲役13年の実刑判決を受け、控訴している。そんな人物を公設秘書に起用した責任が批判されている。
他にも、石井浩郎氏は金融取引で証券会社から利益提供を受け、片山さつき氏は国税局への口利き疑惑が報じられた。片山氏は口利きを否定しているが、関東信越国税局に電話していたことが産経新聞の情報公開請求で明らかになった。
元外務官僚の松川るい氏は高齢者施設のコロナ対策に関する国会審議で、「高齢者は歩かないから」とヤジを飛ばして謝罪に追い込まれている。
有権者はこうした議員たちの言動や報じられた疑惑に対してどんな姿勢で説明責任を果たしてきたかを検証、評価して「議員にふさわしくない」と判断すれば――今度は参院選で1票の鉄槌を下すことができるのだ。
※週刊ポスト2021年11月19・26日号