『週刊ポスト』の新連載「居酒屋ますや」で、大将をつとめる役者・升毅は、実はプライベートでも自宅マンションの隣室を借りて「居酒屋ますや」を開いている。訪れる客は、役者仲間や草野球チームのメンバーなど。要は友人を招いてのホームパーティだが、玄関には暖簾をかけ壁には手書きのお品書きを貼るなど、本格的な居酒屋仕様の空間だ。
「きっかけは10年ほど前に、お隣さんが引っ越したこと。小さなマンションだから隣に変な人が来たら面倒だなと思って、いっそ自分で借りてしまおうと考えたんです。せっかく借りるなら、仲間たちと芝居の話をしながら酒が呑める『居酒屋ますや』にしたいと、テーブルや食器、調理道具を揃えるところから始めました」
料理は気分転換、ストレス解消効果も
「居酒屋ますや」のオープンは月に2回ほど。お品書きには、おでん、きんぴら、煮物など、酒のすすむメニューがズラリと並ぶ。
「僕の中では居酒屋=おでんのイメージ。だから、まずは仕込んでおいたおでんをつまんでもらって、その間につまみを作っていくスタイルです。『ポテトピザ風』など、皆に好評で定番になったメニューもたくさんあります。よく来る常連から『また作ってよ』とリクエストされるのも嬉しいものです」
撮影時の手際も鮮やか。楽しげな料理姿から、作り慣れていることが窺える。
「僕にとって料理は気分転換。特に作るものが決まっていなくても、スーパーで食材を見ていると食べたいものが浮かんでくる。買い物を終えて料理を作り始めると同時に、これを刻んでおこう、これにお湯を掛けておこうと、段取りを考え始めます。その思考回路が日常とは全く違うから、ストレス解消にもなっているんじゃないかな」
料理好き・もてなし好きは筋金入り。学生時代には一人暮らしのアパートに友人を招き、料理をふるまっていた。
「幼い頃の我が家の食卓は、母親が作った料理が大皿で出てきて、家族でとりわけるスタイルでした。お客様が多い家だったのですが、来客時もそのスタイルで、皆さんに好評だった記憶があります。料理好きな母の姿を見ていたせいか、子供の頃から自分のキッチンをもちたいと思っていました。一人暮らしを始めてからは、劇団の後輩がウチに遊びに来ると、昼は麺類、夜は酒のつまみなんかを作っていましたね」