主役の吉高由里子が相手役に松下洸平、井浦新ら注目俳優を従えて展開するサスペンスドラマ『最愛』が話題だ。ドラマオタクを自任するエッセイストの小林久乃氏は、「放送中のツイッター投稿の数」でその人気ぶりがうかがえるという。ドラマの人気を支える主演女優・吉高由里子の魅力を3つの角度から考察・分析する。
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放送中、ツイッターを見ているとドラマ『最愛』(TBS系、金曜夜10時~)の人気が加速しているように感じる。ドラマに関連する多くのワードがトレンドに上がり、ついつい私も感想をつぶやいたりしている。
この作品ではふたつの殺人事件を起点に、学生時代、想いを寄せ合っていた男女が再会するところから物語が始まる。主な登場人物は事件の参考人・真田梨央(吉高由里子)と、担当刑事・宮崎大輝(松下洸平)だ。ふたりの周りにはいくつもの人間関係がうごめき、巧妙な伏線が敷かれている……と、言葉で表現すると、よくあるサスペンスラブストーリーと思える。
それだけでは私はもちろん、視聴者の多くもSNSでつぶさに反応はしないだろう。ではなぜ花金にリアタイ(リアルタイム視聴)までするのかといえば、そこには吉高由里子さんという大きな吸引力があるからだ。本当に……すごい。今回は超個人的な視点で、彼女の魅力を綴りたい。共感の反応を心よりお待ちしております。
笑いのツボをおさえた、的確な頭の回転速度
吉高さんの共演者たちがバラエティ番組などで口を揃えて言うのは「現場に現れると、雰囲気が明るくなる」という賞賛のコメントだ。本当によく聞く。緊張感漂う撮影現場で、彼女の背後には後光が射しているのだろうか。
これまでの自分の取材で体験したことを基に推察すると、彼女は頭の回転数が絶妙に良いのだと思う。存在だけで明るさを放つひとは、何も芸能人だけではない。一般人でもたくさんいる。でもそこに必要なのは、周囲を不快に落とし込まない、会話術。見た目だけで人を惹き寄せるのではなく、適度な笑いが必要なのである。
このパターンを吉高さんに見たのは、2014年放送の『第65回NHK紅白歌合戦』で司会を務めたときのこと。発表記者会見で「とんでもないこと、よくも(自分を)選んでくれたと思う」という発言を強烈に覚えている。天下のNHKがセッティングした、1年間を締め括る名物番組である。その司会者発表には多くのマスコミが集まり、日本中の関心が集まっている。その最中で決して“天然”発言ではない、絶妙な温度で笑いを取っている様子に天性の頭脳回転数を感じた。滑ったら面倒なことになるかもしれない危険を物ともせず、空気を読んでいたのだ。ふつうの女優さんは公の場での踏み込んだ発言は避けることが多いので、とても新鮮だった。