コロナ禍でも無傷だった中古車販売
さらに、コロナ禍も中古スポーツカー高騰の理由の一つではないでしょうか。実のところ、今回のコロナ禍で、国内のスポーツカーのカスタム・ショップの多くは仕事が増えたという話を耳にします。「どこにも出かけられないから、趣味のスポーツカーをイジろう」ということでしょう。
また、公共交通機関と違い、クルマでの移動は他人との密な状況になりません。そのため、コロナ禍で経済が停滞した2020~2021年であっても、中古車販売は、ほぼ例年通りでした。
一般社団法人日本自動車販売協会連合会が発表する「中古車・乗用車合計」を見ると、2020年の中古車の登録台数は前年比99.2%。2021年も1~9月は99%となっています。中古車の販売は、まったく影響を受けていなかったのです。
そうした流れの中で、「どうせ買うなら、スポーツカー」という人も多かったのでしょう。それが、比較的に新しめの中古スポーツカーの価格高騰の理由になったはずです。
「絶滅の危機」に瀕するガソリンエンジン車
そこで気になるのが、今後の動向です。「価格が高騰しているのだから、待てば値段が下がる」という可能性もあります。一方で「このまま上がったきり」になることも十分にあり得ます。
個人的には、この先、値段が下がることはないのではないかと思います。なぜかと言えば、「ガソリン・エンジン車のスポーツカーは絶滅の危機に瀕している」からです。
今、世の話題となっているのは“カーボンニュートラル”です。クルマで言えば、燃費をよくしなければなりません。そのために、これからのクルマは、どんどんとハイブリッド化されてゆき、EV(電気自動車)も増えていきます。
この調子では、10年後に登場する新型車のうち、純粋なエンジンだけで走るクルマはなくなる可能性が非常に大きく、エンジンだけで走るスポーツカーは、今、売っているもので終わりになるかもしれないのです。なくならないとしても激減するのは間違いありません。