先の総選挙で38歳新人にして埼玉10区の与野党一騎打ちを制した自民党の山口晋・衆院議員。父親は前自民党選対委員長の山口泰明氏で、今年7月に引退を表明し、息子に地盤を譲った。
その世襲選挙直前の今年9月、父・泰明氏が会長兼社長を務める「坂戸ガス」から坂戸市、鶴ヶ島市、鳩山町など選挙区内の3自治体に少なくとも総額1500万円が寄附されたことが分かった(本誌・週刊ポスト11月1日発売号既報)。
坂戸ガスは本誌の取材に対し、「(会社の)50周年記念事業として寄附をした。山口晋氏の選挙とは全く関係がない」と回答したが、新たに泰明氏が“自分の名前を前面に出した”形で寄附を行なっていた事実が判明した。
坂戸ガスから350万円の寄附を受けた鶴ヶ島市の齊藤芳久・市長は、自身のブログ(9月21日付)に〈高額寄付〉というタイトルとともに市長と泰明氏のツーショット写真を掲載。市長は大きく「山口泰明」と書かれた目録を手にし、泰明氏は市長から贈られた感謝状を抱えている。ブログには〈坂戸ガス株式会社 取締役会長兼社長 山口泰明(やすあき)様が来庁いただき、寄付贈呈式が執り行われました〉と綴られていた。ただし、この記事と写真は後日削除された。
鶴ヶ島市の担当者はこう語る。
「ブログに載せた後で、(坂戸ガス側から)企業からの寄附なので代表者名では載せないでくれという話があり、市長が自ら削除した。その後、坂戸ガスの社員の方が来て企業名のみが書かれた目録に差し替えた」
同じく1000万円の寄附を受けた坂戸市の担当者はこう話す。
「9月21日に山口泰明さんと坂戸ガスの常務・専務取締役の3人で『山口泰明』の名前が書かれた目録を持って来られたが、企業からの寄附なのでこちらから訂正をお願いし、『坂戸ガス』のみの表記に差し替えてもらった」