「東京ドーム」使用の影響はあるのか──。11月20日、プロ野球の日本シリーズが始まる。今年は、ともに前年の最下位から優勝を果たしたヤクルトとオリックスが対決する。コロナ禍の影響で当初の予定よりもポストシーズンが1週間延びたことで、日本シリーズとアマチュア野球の明治神宮大会の日程が重なった。そのため、ヤクルトは本拠地の神宮球場を使えず、3戦から5戦は東京ドームで行なわれる。プロ野球担当記者が話す。
「ヤクルトにとっては痛いでしょう。今季、多くの投手が東京ドームを苦手としているんです。3戦から5戦の先発が予想される小川泰弘と石川雅規は各1試合しか投げていないし、高梨裕稔は登板していないので、あまり参考になりませんが、リリーフ陣は軒並み防御率が悪い。巨人打線が強力だからと思われるかもしれませんが、今季の巨人のチーム打率は2割4分2厘でリーグ5位、得点はリーグ4位とそれほど打てていません。それでも、ヤクルト投手陣は東京ドームで打たれている。マウンドが神宮球場と異なり、傾斜の角度が違うことなども影響しているのかもしれません」
守護神として31セーブを挙げたマクガフは巨人以外の4球団のビジターの本拠地では20試合を投げて自責点ゼロと完璧なピッチッングを見せたが、東京ドームでは7試合で防御率6.43と奮わない。チーム3位の64登板の今野龍太も8試合で9.45、チーム4位の58登板の石山泰稚も9試合で5.79、36登板の坂本光士郎 も4試合で8.10と他球場と比べて数字が一気に悪化する。昨季まで巨人で投げていた田口麗斗も5試合で5.17と相性が良くない。
「チーム最多72登板の清水昇は神宮では31試合で防御率1.84ですが、東京ドームでは7試合で2.84です。悪い数字ではないですが、甲子園や横浜スタジアムでは1点台、マツダスタジアムでは0点台ですから高いほうです。それに、バンテリンドームで6試合で11.57と相性が悪いのも気になります。東京ドームとバンテリンドームの傾斜は似てますから」
今季、16試合あった東京ドーム(巨人10戦、DeNA、広島各3戦)でのヤクルト投手陣の防御率は4.14で球場別で見ると、最も悪い数字だった。一方のオリックスは2試合しか行なっていないが、1勝1敗で防御率1.59だった。