中国の3人の宇宙飛行士が現在、地球の軌道上を回る宇宙ステーションに半年間滞在し様々な作業を行っている。そのうちの1人の女性宇宙飛行士の王亜平さんについて、ネット上に「宇宙では、女性特有の生理の時はどうなるの?」「軌道上でブラジャーを着用する必要はあるのか」といった女性蔑視と受け取られかねないような書き込みが登場し、問題視されている。
王さん自身は「中国社会で、女性についての見方が変わらないのは残念だ」とのコメントを発表。米紙「ニューヨーク・タイムズ」は「当局やメディアは、彼女の功績を称えるだけでなく、男女の生物学的な比較や生理などについて言及するなど、差別的だ。他の2人の男性宇宙飛行士には、そんなことは触れなかったのに。中国のガラスの天井は非常に高いところにもある」と批判的に伝えている。
王さんは黄海の港町・山東省煙台市で生まれ、1997年に高校を卒業した後、東北部の吉林省長春市にある空軍航空大学に入学。空軍のパイロットとして1600時間の飛行時間を経て、宇宙飛行士に選ばれ、その年に初めて宇宙に飛び立った。
今回のミッションは宇宙飛行士として2回目で、宇宙ステーションの船外で、ロボットアームに装置と船外テーブルを設置し、その後、ロボットアームのサポートの下で、ロボットアームサスペンションとアダプタの設置や、船外典型的な動作テスト、船外相互救助検証などの作業を行っている。地球帰還は3月中旬になる予定だ。
中国の宇宙関係当局は「彼女の経験や能力は問題ない」と太鼓判を押しているが、ネット上では「彼女は髪を切っていけばよかったのに。宇宙でどうやって髪を洗うの?」「生理の時は大変だろうな」「5歳の娘をほったらかしにして、大丈夫なの?」など、あたかも王さんが宇宙飛行士であってはいけないようなコメントが溢れている。
これは当局者も同じで、発射直前に中国国家宇宙局の幹部が、「宇宙ステーションに衛生用品や化粧品を詰めた貨物カプセルを用意している。これは彼女のためだ」との情報を明らかにした。これを聞いた中国中テレビ局(CCTV)のコメンテーターが「女性宇宙飛行士は化粧をした方が調子はいいかもしれないね」と発言したことに対して、「女性は化粧品やスキンケア製品なしで生きていけないような言い方をしている」との批判が出ている。
ニューヨーク・タイムズは「かつて毛沢東が『女性は空の半分を支えることができる』と言ったことがあるが、中国共産党の最高指導機関である党政治局員25人のうち、女性はたった1人だ。中国の職場では、女性が容姿を理由に採用され、妊娠すると解雇されたり降格されたりすることがあるなど、依然として男女差別が存在する。女性蔑視は中国の社会や政治、ビジネスの世界を貫く底流の一部でもある」と指摘している。