赤いニワトリのマークが目印のホームセンター・コメリのプライベートブランド『アテーナライフ』から、フタに触らずに開閉ができる、センサー付ペール(バケツ型のゴミ箱)が発売された。コロナ禍で注目される非接触型のゴミ箱の開発物語。
新型コロナウイルスの影響で、非接触型製品の需要が増している。ゴミ箱もその1つで、自宅で手を洗った後は、家族間であってもタオルの共用は避け、ペーパータオルを使うという家庭が増えた。とはいえ、捨てる際にゴミ箱のフタに接触してしまっては万全とはいえない。そんなとき、フタが自動で開閉するゴミ箱があると便利だが、センサー付ペールは、大型で高額なものが多かった。
コメリはそこに目をつけ、20L・15Lという洗面所やリビングにも置きやすい『センサー付ペール』を自社で開発・販売した。
しかし、ただの小型センサー付ペールでは目新しさがない。そこで考えたのが、「振動センサー」だ。手をフタの付近にかざすと自動で開閉する赤外線センサー機能に加えて、ゴミ箱本体に手や足などで振動を与えると、振動センサーが反応してフタが開閉する。両手がふさがっているときなどに便利な機能だ。開閉は電池式となっており、単3アルカリ乾電池3本で約5500回の開閉が可能だ。
低価格で扱いやすい商品を開発できることが、プライベートブランドの最大のメリット。20Lは4980円、15Lは2980円という購入しやすい価格に決め、開発を進めた。
コメリは店内のおよそ40%をプライベートブランドの商品が占めているが、たくさんの商品の中で手にとってもらうため、パッケージのデザインにはいつも時間をかけているという。今回も機能がシンプルに伝わって目を引くデザインに至るまで試行錯誤を重ねた。
今年9月に発売され、売れ行きは好調。ファミリー層はもちろん、会社で導入されることも多いという。
取材に応えてくれた浅野貴行さんは、ゴミ箱をはじめ、掃除・洗濯用品の商品開発を担当している。どのように企画を考えているのかを聞いてみると、「自分が生活する中で“不便に感じること”を常に探しています。その不便を解消できるのなら、すなわち生活が便利になる。そこから商品が生まれます」と話してくれた。ちなみに、浅野さんの自宅には、研究のために揃えたゴミ箱が大量にあるそうだ。
今後、『センサー付ペール』は大型化を図る予定だそうで、キッチンでも使える大きなものがほしいという声にも応えてくれそうだ。
取材・文/須川奈津江
※女性セブン2021年12月2日号