国内の女子ゴルフツアーは11月21日の大王製紙エリエールレディスを終えたところで、来年のツアー出場権である「シード権」が確定した。賞金ランキングおよび(米メジャーを含む大会の順位をポイント化した)メルセデス・ランキングの50位以内に入った計52選手に、来季の出場資格が与えられるが、今回は13人が初シードを獲得。女子ゴルフに“新時代”が到来したことが見て取れる一方、「人気選手が国内ツアーから消えるのでは」と懸念する声も聞こえてくる。
初シードが13人というのは、歴代3番目に多い数字で、「宮里藍や横峯さくらが出てきた頃のことが思い出される」(ツアー関係者)という。宮里は2003年、横峯は2004年にプロデビューしたが、その直後にあたる2005年と2007年は「初シードが14人」という歴代最多の数字が残っている。
「あの頃は、宮里や横峯に引っ張られるように若手が台頭し、世代交代がどんどん進んでいった。2005年までは不動裕理が6年連続で賞金女王に輝いて確固たる地位を築いていたが、2006年は大山志保がその座を奪い、翌年は上田桃子が最年少賞金女王となった。
さらに翌年には古閑美保が賞金女王に輝き、20歳の原江里菜が21アンダーで優勝するなど若手が爆発的なスコアをマークする試合が目立った。この年はプロテストに合格したばかりの若林舞衣子や服部真夕が優勝するなど、初優勝者が8人。新しい世代がどんどん台頭する今の女子ゴルフ界に重なって見えます」(同前)
畑岡奈紗、渋野日向子、勝みなみ、原英莉花、小祝さくらなどの1998年生まれの「黄金世代」に加え、古江彩佳ら2000年生まれの「ミレニアム世代」、そしてその間の1999年生まれである稲見萌寧ら「ハザマ世代」の選手たちが大活躍している。ハザマ世代の稲見とミレニアム世代の古江による今季の賞金女王争いの決着は、最終戦まで持ち越された。
初シード獲得の面々を見ても、ツアー優勝を果たしたミレニアム世代の西村優菜(賞金ランキング5位)や吉田優利(同21位)、さらに若い2001年生まれの西郷真央(同4位)、山下美夢有(同12位)ら新鋭が名を連ねる。
その一方で、そうした若手に押し出されるかたちで、これまでの実力者たちが次々とシードを失った。8シーズン連続でシード入りしていた成田美寿々(同102位)をはじめ、福田真未(同57位)、葭葉ルミ(同67位)、永井花奈(同70位)、松田鈴英(同94位)ら19人がシード落ち。シード喪失者のなかには、キム・ハヌル(同81位)、イ・ボミ(同82位)、ペ・ヒギョン(同63位)、黄アルム(同86位)ら数年前には国内ツアーの上位を席巻していた韓国人プロたちの名前もある。
「韓国人プロたちは、コロナ禍による入国制限で出場できない試合もあったため、それぞれの状況に応じた特別措置が取られることになった。たとえば、2015、2016年の賞金女王であるイ・ボミは来季5戦を終えたところで、今季の賞金ランク50位の獲得賞金(有村智恵の3201万1751円)に到達すれば、シードを与えられる。ただ、ハードルはかなり高く、もう日本の国内ツアーで彼女たちを見る機会はなくなってしまうのではないか」(ゴルフ担当記者)
ただでさえ、コロナ前からLPGAは海外選手のツアー出場が困難になるように、参加資格を“厳格化”してきた経緯がある。