クライマックスシリーズ(CS)でヤクルトに完敗を喫した巨人。新たに3年契約を結んだ原辰徳監督は来季に向けて、今季まで日本ハムでヘッドコーチ兼打撃コーチだった小笠原道大氏を2軍打撃コーチとして招聘した。現役時代は日本ハム、巨人、中日で活躍し、現役引退後は中日の2軍監督を務め、昨年から日ハムの1軍ヘッド兼打撃コーチに就任。だが、チームが低迷した責任をとり、今季限りで退団した。
8年ぶりの古巣・巨人への復帰は自然に見えるが、日ハム番記者の間では驚きの声が上がったという。日ハム番記者のひとりが語る。
「なにかと話題になった中田翔との関係です。この2年間、2人には不仲説が流れ続けていました。原因は小笠原コーチが中田の目に余る行動を咎めたからだと言われています。栗山英樹前監督をはじめ、多くのコーチと違って、小笠原さんだけは中田を特別扱いしなかった。小笠原さんからすれば、中田のためを思っての愛情の表れだと思うのですが……今季は両者の会話もなくなり、ベンチではピリピリした空気が流れていました。その2人がまさかまた同じユニフォームを着ると思いませんでした」
“王様”だった中田も巨人移籍後は心を入れ替えたようだ。日ハムでは「不動の4番」に君臨していたが、8月にチームメートへの暴力事件が発覚し、球団から無期限出場停止の処分を受けた。引退危機に追い込まれたが、巨人が無償トレードで獲得。キー局スポーツ担当は「手を差し伸べてくれた原監督に対して感謝の思いがあるのでしょう」と言う。
「中田は拍子抜けするほどおとなしいですよ。1学年上で大黒柱の坂本勇人がいることも大きいのでしょう。周囲に気を遣って、わざと存在を消しているようにも感じます。ただ、報道陣からすれば、タメ口で生意気だけど憎めない中田を知っているので、少し寂しい気もしますけどね」(キー局スポーツ担当)
だが、肝心の成績は期待に応えられず不本意な成績に終わった。今季は73 試合出場で打率.177、7本塁打、20打点。リーグ3連覇の救世主と期待されたこともあり、「V逸の戦犯」と厳しい声も上がる。ヤクルトとのCSファイナルステージでも1、2試合目は出場機会がなく、3試合目に9回表2アウトから代打で出場するもワンバウンドするボール球にバットが出てしまい、空振り三振。今季の巨人の最後の打者として終戦を迎えた。
「ヤクルトとのCS初戦は本職が捕手の大城卓三が1塁でスタメン起用されるなど、中田を起用する優先順位が下がっている。来季も1軍の座が保証されているわけではない。2軍に『塩漬け』で鬱憤が爆発して小笠原さんと衝突しなればいいのですが」(同前)
小笠原コーチは現役時代に日ハムで首位打者2回、本塁打王1回、打点王1回と活躍後に巨人へFA移籍。移籍初年度から4年連続「打率3割、30本塁打」をマークし、巨人にFA移籍後に活躍した数少ない「成功組」だけに、中田と信頼関係が築ければ有効なアドバイスができることだろう。