約3年間の大腸がんとの闘病の末、この9月に24才でこの世を去った遠藤和(のどか)さん。彼女は亡くなる直前まで、未来の娘に伝えるために、日々の思いを綴り続け、本にまとめる作業をしていた──。
《彼女がもう少し大きくなって何かに迷ったとき、私の人生の選択が少しでも参考になったら、うれしいなと思う。》
遠藤和さんが息を引き取ったのは、今年9月8日のことだった。24才だった。
和さんは亡くなる直前まで、娘のために日記を書き続けていた。
1997年、青森県に生まれた和さんは、21才のときに大腸がんが発覚し、ステージIVと宣告された。
22才で、かねてから交際していた遠藤将一さん(30才)と結婚。昨年7月、23才で娘を出産した。
「和は治療を頑張りながら、ぼくたちの結婚記念日の12月21日を目標に、書きためた日記を、娘のために本にまとめる作業を続けてきました」(将一さん)
和さんの著書『ママがもうこの世界にいなくても』は、12月1日に上梓される。そのなかから、和さんの足跡がわかる一部を紹介する(《 》内はすべて同書からの引用)。
《2020年2月5日(水)
笑コラで、結婚式がオンエアされた。
バイト先の食堂に20人くらいで集まって見たけど、テレビの反響すごい。
知り合いから、LINEが止まらない。
インスタには、ものすごい数のコメント。フォロワーもどんどん増えて、DMもめっちゃくる。ゲストで出てたさっしーも、いいねくれた。すごすぎ。感動。応援してくれる方ばかりで、幸せものだ。
たくさんの人の目にふれて、がんの治療法の情報が入ってくるといいな。同じように病気で苦しんでいる人のためにシェアしたい。》
和さんは2019年12月、将一さんと結婚式を挙げた。その様子が、2020年2月、『1億人の大質問!? 笑ってコラえて!』(日本テレビ系)の「結婚式の旅」というコーナーで放映され、話題を呼んだ。
「『和さんの日記をまとめて本にしないか』という提案を受けたのは、この頃でした。妊娠がわかったばかりで、出産のことだけを考えたくて、そのときは一旦話を保留にしたんです」(将一さん)
ステージIVのがんを患いながらの妊娠生活には大きな困難もあった。妊娠18週目、卵巣へのがん転移が発覚。和さんは生前、当時をこう振り返っていた。
「がんの私が子供を望んだらいけなかったのかも、と何度も思い悩みました。唯一のやすらぎは、赤ちゃん用品を選ぶとき。そのときでさえ“今後は買い物にも行けなくなるかも”“子供がこのサイズの服を着る頃、私は生きてるのかな”など悪いことばかり頭をよぎりました。もちろんどちらも無事でいたかったけれど、正直、私は死んでもいいから赤ちゃんを助けてあげたい、守りたいと思いました」
2020年7月9日、27週だった。和さんは、帝王切開で出産に臨んだ。幸い、母子ともに無事だった。その2か月後、和さんの卵巣から摘出された腫瘍は、娘の体重の3倍の重さだった。
娘という存在ができてから、和さんは、日記を本にまとめることを考え始めたという。