公開中の映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、重要なシーンで畳が使われるなど、日本の品々が登場することでも話題になっている。畳とともに登場するもう1つの日本古来の品が、ベン・ウィショー演じる秘密兵器開発担当のQが、自宅での料理中に着用する前掛けだ。
その前掛けを製造販売しているエニシングの代表・西村和弘さん(48才)によると、以前から納品していたロンドンの雑貨店、レイバー・アンドウエイトで作品の衣装担当者が購入したものだという。
「これはもともと愛知県豊橋市一帯が産地の帆前掛けという綿織物で、帆布より柔らかく体に馴染むのが特徴です。2007 年から海外展開し、現在では約30か国で販売。大英博物館やMoMAでも扱ってもらっています」(西村さん・以下同)
本来、前掛けは酒店や米店などで働く人が腰に巻き、衣服や体を守ったりするものだが、欧米ではクッキング用エプロンとしてのニーズが高い。
「特にヨーロッパの方々には『美しい』『かっこいい』と評価してもらうことが多いです。今回『007』でエプロンとして再注目されたのを機に、これからは骨盤をしっかり締め、腰を守りつつ作業できるといった結び方の利点も伝えていきたいですね」
映画公開以降、注文は10倍増。今後“MAEKAKE”という言葉を世界中に定着させたいと西村さんは力強く話す。
撮影/浅野剛
※女性セブン2021年12月9日号