四つ巴の混戦状態となった立憲民主党の代表選で、1回目の投票で敗れた小川淳也・国対副委員長。彼の名を一躍有名にしたのは昨年6月に公開された自身のドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』だった。小川氏の政治活動を17年かけて追った同作が話題となったことで小川氏の人気・知名度は急上昇し、さる10月の総選挙では香川1区で平井卓也・前デジタル担当相を破る要因になったとされる。
11月26日に公開された政治資金収支報告書により、小川氏がその映画のチケットを政治資金で大量購入していた事実が判明した。
令和2年度の小川氏の政治団体「東京小川淳也後援会」の収支報告書によると、昨年7月3日と7月13日に、それぞれ〈映画チケット購入315枚〉47万2500円と〈映画チケット購入15枚〉1万5000円が〈政治活動費〉として支出されている。支出先の〈(株)ネツゲン〉は、ドキュメンタリー映画の映像製作会社である。
さらに同報告書には、〈機関紙誌の発行その他の事業による収入〉の欄に〈映画チケット販売事業(令和2年10月12日茶話会付き)〉55万円、〈映画チケット販売事業〉7万5000円とある。購入額の合計が48万7500円なので、差し引きすると13万7500円のプラスになる計算だ。
小川氏の事務所に聞くと、「チケットは購入額そのままでお渡ししているので利益は出ていません。収支報告書に『茶話会付き』と明記しています通り、映画鑑賞と併せて茶話会を行ないまして、その実費をここに計上しています。チケット代(の転売)で儲けているわけではありません」と答えた。
利益を得ていないにしても、映画を政治利用しているのではないかという疑念は残る。先の総選挙で敗れた平井氏は選挙中、「映画というより(候補者の)コマーシャルフィルムだ。私に出演依頼はなく、悪役にされた」などと演説で繰り返し批判してきたが、小川陣営は「映画は監督からの要請で撮ったもので、選挙とは関係がない」と反論した。では、収支報告書に映画チケット購入を〈政治活動費〉として計上していることはどう考えるのか。小川事務所はこう答える。
「チケット購入については、そもそも支援者の方から、『映画観たいんだけれど、小川さんのところから買えないか』との要望がいくつも来ていました。それに対して、『チケット屋で買ってください』と突き放すわけにもいかないでしょう。そこで我々のほうでチケットを購入し、支援者の方に販売し、収支報告書にその通り記載したということです」
改めて小川氏に問いたい。なぜ君は政治資金で映画チケットを買ったのかと。